著者等紹介
グリーン,アンナ・キャサリン[グリーン,アンナキャサリン] [Green,A.K.]
1846‐1935。アメリカ、ニューヨーク市ブルックリン生まれ。弁護士の娘として中流家庭で育ち、1866年にバーモント州のリプリー女子学院で文学士号の称号を受ける。詩人になることを志望していたが、78年に刊行された処女長編『リーヴェンワース事件』がベストセラーとなり、作家活動を続けるようになった。84年に俳優のチャールズ・ロールフスと結婚。代表作『リーヴェンワース事件』は夫婦による脚色で劇化されている。短編集Masterpieces of Mystery(12)は“クイーンの定員”に選ばれた
波多野健[ハタノケン]
1949年、京都市生まれ。東京大学教養学部教養学科アメリカ科卒。ニューヨーク、ムンバイに駐在。2000年「無時間性の芸術へ―推理小説の神話的本質についての試論」で第7回創元推理評論賞受賞。ミステリ評論活動に加え、日本に未紹介の推理小説を紹介、翻訳する活動を続けている。探偵小説研究会員
梶本ルミ[カジモトルミ]
1983年、大阪府生まれ、帰国子女。大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おか
62
1870年代に登場した『推理小説の母』(因みに 父はポー)と呼ばれたA・K・グリーンの作品を5編チョイスしたお得な作品集。どの作品も 推理小説でもあり 恐怖小説でもあるといった印象。ちょっともたもた感を感じるのは 私が現代のスピード感に慣れ親しんだせいであろう。彼女の処女作にして当時のベストセラーとなった「リーヴェンワース事件」日本の芦辺、有栖川、小森、二階堂諸氏には あまり好評ではないが いずれ読んでみようと思っています( ◠‿◠ )2019/01/07
maja
22
アンナ・キャサリン・グリーンの中短編選5作品。大金とともにひとり残された妻。意外な捻りが待ち受ける「深夜ビーチャム通りにて」。相続のために集められた一族のなかに偶然迷い込む主人公「霧の中の館」。女性私立探偵バイオレットが活躍する館もので広がる物語に引っ張られる「消え失せたページ13」など楽しむ。 2024/09/16
geshi
22
ミステリーとゴシックホラーの境にあり、ゴテッとした描写が探偵小説好きには合わないかな。『深夜、ビーチャム通りにて』恐怖の積み重ねからラストの捻りへの急転直下。『霧の中の館』遺言が読まれるシーンの狂気が冷たく心に忍び寄る。『ハートデライト館の階段』確実性という点でツッコミ所のある大仕掛け。『消え失せたページ13』「消えた手紙」だと思ったら「アッシャー家の崩壊」に行った感じ。『バイオレット自身の事件』この時代だからこそ描く価値のある女性の自立の物語。シリーズラストとして良い締め。2014/12/24
くさてる
16
ミステリ短編集。初めて読んだ作家だったけど、ひとつひとつの作品に個性があって面白かった。奇妙な味あり、ロマンスめいたものがあり、密室ものあり。1915年のお嬢様探偵というのは新鮮でした。2024/09/15
飛鳥栄司@がんサバイバー
6
この本では表題の『霧の中の館』を始め、全5作が収録されている。「深夜、ビーチャム通りにて」と「霧の中の館」はゴシック・ホラー調の作品。前者は嫌な感じで幕を閉じるが、意味ありげな男の出現の必然性がピンと来ないので、座りの悪い印象しか残らなかった。後者は死者の復讐劇に心を奪われがちだが、現場の凄惨さがいまいち伝わってこない。 「ハーデライト館の階段」は風刺的な皮肉が効いていて面白いが、オチが想像できてしまうので鋭さに欠けてしまった。 「消え失せたページ13」はマンガのキャッツアイな主人公の冒険譚。2014/01/28