内容説明
秀逸なトリックと緻密なロジックによる本格ミステリの傑作!事件現場は密室状態。凶器は被害者のコレクション。サー・レイモンド・エヴェレットを殺害した犯人は誰なのか?
著者等紹介
ペニー,ルーパート[ペニー,ルーパート] [Penny,Rupert]
1909‐1970。本名アーネスト・バジル・チャールズ・ソーネット。英国コーンウォール生まれ。第二次世界大戦中はロンドンの英国政府暗号学校に勤務し、戦後はその後身である政府通信本部で働いた。1968年に引退。1936年にThe Talkative Policemanで作家デビュー。1941年まで8冊の長編ミステリをルーパート・ペニー名義で上梓した。ほかに、マーティン・タナー名義の作品もある
熊井ひろ美[クマイヒロミ]
東京外国語大学英米語学科卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
geshi
15
警察の捜査によって容疑者たちの隠していた部分が明らかになっていく過程、アリバイを整理し密室について検討するディスカッション、これこそ古き良き本格推理。その人物だけが犯行が可能であることを本人が念押しするという事を犯人なら行わないという理屈はあっても、ビール警部が一人の容疑者に肩入れしすぎ。解決場面で行われなかった犯罪を明らかにする方が面白かったな。殺人のアリバイトリックは骨子は想像ついても、たった1つから推理しろというのはちょっと無茶じゃないか。2014/04/27
やっす
4
堅実な作りで、派手な道具立てなどがない分とても落ち着いた雰囲気の作品になってます。洒落た会話のやり取りにも英国ミステリらしさが感じられて好印象。内容も密室状況とアリバイを軸としたオーソドックスな本格ミステリとなっており、見取り図やタイムテーブルに読者への挑戦まで用意され、作中に散らばった伏線をきれいに拾い集めて真相が明かされます。『警官の証言』よりもこっちの方が断然好みです。欲を言えばもう少し惹き付けるものがあれば良かった。とにかく地味な作風で、そこを短所と見るか長所だと考えるかで評価が分かれそうですね。2013/12/07
スズツキ
4
ここまで細かいミステリも久しぶり。ぎっしりとしたタイムテーブルとかね。作中の洒落た会話とかニヤニヤできて良いです。表紙もそんなに意味のあるものじゃないけど、好み。なんとなく『親衛隊士の日』みたいで。ただ、いかんせん長すぎるよ。事件一つでハードカバー400ページはちょっとね。2013/12/02
飛鳥栄司@がんサバイバー
4
ある特殊環境下での密室の謎とアリバイ崩しを軸にしたストレートな本格ミステリ。アリバイ確認のためのタイムテーブルや、事件現場の館の見取り図の作成、また物語のちょうど半分くらいのところで、提示されてた謎を書き出してくれていたりと、読者への情報提供をぬかりなくやっている。そして読者への挑戦を経た解決は、提示された謎をすべて回収しておりスマートな着地を決めている。探偵視点で書かれていることもあり、進行とともに事件解決の鍵は読者の前に明らかにされるので、クイーンに負けず劣らずのフェアな本格ミステリに仕上がっている。2013/10/22
nightowl
3
ナイフのコレクターである判事が刺殺された。彼は冤罪被害者から脅迫状を受け取ってはいたが、そもそも死亡推定時刻には誰も犯行を行えそうにない状況。一体犯人はどのようにして判事を殺したのか。裕福そうな家主の殺害、家族の内情発覚、遺言で険悪、意外な事実、ミスリードの消去、犯人の態度豹変と英国ミステリの流れはしっかり押さえている。若干綱渡りな面に目を瞑れば、解説で称賛されている題名にぴったりの締め括り方や巧緻な騙し技など比較的秀作と言えるのでは。加えて警部の人となりにかなり好印象。2013/12/19