内容説明
帝都を狙う恐るべきスパイ網!愛国探偵・横川禎介、謀略を暴く!異色スパイ小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホームズ
7
なんだかものすごく戦争の影を感じる短編集。国威高揚って感じの文章が時代を感じさせる。戦争目前のものから「大東亜戦争」開戦後まで書かれてましたがこんな本が当たり前に書かれていたんですね~。検閲とかもあったでしょうが作者本人はどんな気持ちで書いていたんでしょうか。後書きには横川禎介シリーズを全部載せてノンシリーズは収録しなかったってあったけどまた別に出して欲しいですね(笑)2010/08/26
Aiko
3
戦時中探偵小説が規制を受け、やむなく書かれたプロパガンダ小説でもあるので、本格モノと同じクオリティを期待してはいけない。特にプロットがパターン化しすぎているのが残念。だが、毎回導入部の謎には毎回工夫を凝らしていて、ハウダニットとして興味を引くものも数多い。また、解題にもあるように、探偵小説が作者の思想を表現することを第一義とする文学作品とは異なるからこそ、当時の時代思潮が生のまま痕跡となって残されていることを考えると、改めて見直されるべき作品集であると思う。個人的には「疑問のS」「街の潜水夫」「赤毛特急車2013/04/19
くろばぽん
2
なんとも時代を映す作品の数々・・・。「誰が何をしていてこの事態が起こったか」という部分についてはどの作品も同じであるため、まとめて読むと正直飽きがきて長編はごめんなさい挫折しました。自由に書けなかった時代の作家たちはどんな思いで原稿用紙と向き合っていたのでしょうね。そのことに現代の私たちが思いを馳せるだけでも意味深い作品集であると思う。2015/10/03