内容説明
エヴィーとわたしは女同士、気ままに楽しく暮らしていた。ところがエヴィーが彼と出会ってから、わたしたちの心は次第に掻き乱されていった。そして、二人のフラットで悲劇は起きた―。それでもわたしはあのころを忘れない。エヴィーとともに過ごした日々を…。ミステリの古典『ローラ殺人事件』の著者キャスパリが、揺れ動く若い女性の内面を巧みに描写し、生き生きとしたタッチで魅力溢れる人物に描いたサスペンス。著者代表作のひとつ、本邦初訳。
著者等紹介
キャスパリ,ヴェラ[キャスパリ,ヴェラ][Caspary,Vera]
1899~1987。アメリカ、シカゴ生まれ。パブリック・スクールを卒業後、速記者やコピーライター、雑誌編集者などの職業に就く。1929年に普通小説The White Girlでデビュー。その後はシナリオライター、ミステリ作家として活躍
文月なな[フミズキナナ]
小樽市出身。北海道大学文学部行動科学科卒。インターカレッジ札幌にて翻訳を学ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紅はこべ
25
舞台は禁酒法時代のシカゴ。語り手ルイーズに回想される親友エヴィーと過ごした青春の日々。それはエヴィーの惨殺によって終止符を打たれ、ルイーズは娘時代に別れを告げる。コピーライターのルイーズと絵に打ち込むエヴィー。時代の先端を走っているような二人の若い女性の心情と暮らしぶりに焦点が当てられる。仕事があるからこそ、セクハラや恋愛問題や友情の亀裂に悩みながら、ルイーズは芯を失わずに立っていられる。エヴィーの死後、嘘が次々と暴かれるが、自らを支える仕事のなかった彼女の自らを守る唯一のファンタジーだったのかな。 2011/01/26
星落秋風五丈原
9
物語の舞台が設定されているのは1920年代だが、彼女が置かれている状況は、現代日本と驚く程よく似ている。「ワーキングガールという言葉の前に貧しい(poor)という形容詞を置く人はもういない」「仕事を持ち、選挙権を獲得し、男性と平等の権利を手に入れて自立した。わたしたちのライフスタイルの変容でいちばん重要なポイントは、自由に使えるお金をもつことができたこと(p30)」。だが一方で、旧弊な考え方が支配する男社会ならではの苦労もする。ルイーズは、広告代理店から作家に転じたキャスパリ自身の投影だろうか。2007/11/12
さえき
2
面白かったけど結末がなんとも言えない2015/02/16