著者等紹介
ファスビンダー,ライナー・ヴェルナー[ファスビンダー,ライナーヴェルナー][Fassbinder,Rainer Werner]
1945年生まれ。ミュンヘンでの自主演劇活動を経て、1969年長編映画第一作『愛は死より冷酷』を発表。その後精力的に創作活動を展開。生涯に残した映画は45本(うち2つは連続テレビ映画)、戯曲は未発表のものを含め18本。名実ともにドイツを代表する芸術家となった82年に急死
渋谷哲也[シブタニテツヤ]
1965年生れ。ドイツ映画研究。現在東京国際大学専任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スミス市松
16
ディストピア化した都市風景や猥雑で性的倒錯した人物たちが放つ台詞の毒々しさ、そして「金持ちのユダヤ人」に象徴される挑発的展開をもつ本作は「左翼ファシズム」「左翼の反ユダヤ主義」とも揶揄され本国では一度も正式上演されていない戦後ドイツ演劇最大の問題作だという。僅か100ページに満たない小品の中に彼の国が長年抱え続ける呪詛が凝縮されている。このような作品が出てくることに戦慄を覚える他ない。「そんなことでは自分を救えやしないわ」「誰が自分を救いたいの? 何から? 一体誰が自分自身について知ってるっていうの?」。2019/03/12
ドン•マルロー
15
何よりタイトルが良い。ゴミ、都市そして死。発表された当時、反ユダヤ的であると痛罵された本作であるが、いまなおその論争の炎は消えていないにちがいない。言葉の力というものを改めて思い出させてくれるような、とてつもない喚起力を持った戯曲である。2021/02/13
てるちょこ
6
世代、民族、セクシュアリティのうねり。 あれよあれよと箴言が飛び出して いつの間にか終わっている。粗野な台詞を 連ねるリズムと喚起力。ハッタリの構築美 と言えそうだ。2018/06/12
月式
3
1975年の発表以来、現在に到るまでドイツ本国で正式上演されていないという曰く付きのファスビンダーの戯曲。月面と同様に人の住む所ではないとする都市の虚無を痛いほどに堪能しました。そして今月25日より、紀伊国屋ホールにて本邦初上演されるそうです。何とローマ・Bは緒川たまき!2013/10/19
MaRuTaTSu
1
「ローマ・B:嘘がなければ真実はどうなると思う?真実自身が嘘になるわ。」(13頁)2018/04/05