内容説明
国連も決して過誤皆無の組織ではなく、時にイラク石油食料交換計画でのような政治的腐敗さえ惹起する。こうした破綻根絶をめざす国連の改革を、国連機関で実務経験を持つ著者が、予算制度改革に基づく「管理型」と、直接的・対面的応答に立脚した「政治的」という、二つのアカウンタビリティーの概念と実際を通じて詳細に考察した本書は、加えて両者を結合し行政を統制する「監査」の重要性を力説した、まさに組織再生のための労作である。
目次
第1部 国連の管理型アカウンタビリティーの概念分析(国連の管理型アカウンタビリティーの基本的構造;管理型アカウンタビリティーの概念の推移のモデル;国連の管理型アカウンタビリティーの概念の推移;国連に導入された新公共経営論の特徴)
第2部 国連の行政監査の制度的分析(行政監査機能の判断基準;イラク国連石油食糧交換計画にみる行政監査の制度的課題;参加の拡大とオーディエンス)
国連再生への道標
著者等紹介
蓮生郁代[ハスオイクヨ]
大阪大学大学院国際公共政策研究科准教授。国際機構論・国際行政論専攻、法学博士。1986年一橋大学法学部卒業。1988年アメリカのフレッチャー・スクール法律外交大学院修士課程修了(ロータリー奨学生)。日本興業銀行を経た後、1993年国際連合教育科学文化専門機関(UNESCO)パリ本部採用。国際公務員として、ユネスコの行財政改革や行政統制に従事。2007年一橋大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士号(法学)取得。2006‐7年コロンビア大学客員研究員(フルブライト・フェロー)、2007年国連大学コンサルタントなどを経て、2008年より大阪大学大学院国際公共政策研究科准教授(現職)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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