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内容説明
1996年までアイルランドに実在し、延べ3万人の少女たちが収容されたマグダレン修道院。キリストによって改心した娼婦マグダラのマリアにちなんで名付けられたその修道院は、性的に“堕落した”と判断された女性たちを神の名のもとに矯正する施設として、カトリック教会によって運営されていた―。未婚で妊娠した者、レイプされた者、男に色目を使ったと噂された者、さまざまな理由で修道院に送られる少女たち。彼女たちは本名を名乗ることを禁じられ、頭髪を剥られる。外界から閉ざされた劣悪な環境のなかで、少女たちは悲痛な叫びを上げていた。世界を圧倒した衝撃のノンフィクション。
目次
夜勤からの解放
シィアムスを見捨てるように
初犯者
娘を奪われる
キテイーの二等兵
ウォーターフォードから来た女
医師による出産
サディーの妹
ジャーマインの小さな息子
メリー・クリスマス…〔ほか〕
著者等紹介
ゴールディング,ジューン[ゴールディング,ジューン][Goulding,June]
1927年、アイルランド生まれ。1950年代に助産婦としてマグダレン修道院にいた経験から『マグダレンの祈り』を執筆する。現在は、家族とともに北イングランドに在住
石川順子[イシカワジュンコ]
英米文学翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
81
アイルランドのマグダレン修道院で長い間、行われていた所業を描いたノンフィクション。語り手は助産婦としてそこで働いた女性で、中での様子がかなり具体的に描かれていた。院は妊娠した未婚女性の駆け込み場だが、実情は矯正を行う収容所。最底辺の衣食住、労働の搾取、そして産んだ子供は養子へ。実母に授乳させながら手放させるという刑罰かのよう。産む時の医療も不十分で痛々しい描写におののく。背景にあるのは厳密なカトリック信仰と付随する父権社会。彼女たちは家族から恥の存在とされ蓋をされた。院は閉鎖されたが、その蓋は果たして…。2026/04/05
がらくたどん
51
『ほんのささやかなこと』を読んで。アイルランドに1996年まで実在したマグダレン修道院という「堕落した少女達」の収容施設で助産師として勤務した作者によるノンフィクション。社会全体に浸透した強固な家父長制と神と父(男性)の権威を同一視する極端な信仰が、未婚の妊婦・レイプ被害者・障害を持つ女性達を隔離し産まれた新生児の強制的な有償養子縁組と罰としての矯正教育・長期的な強制労働を行う公共の収監施設を創り上げた。出来るのは寄り添うことだけ。無力を噛み締めつつ見た事を書き遺した作者の良心に最大の敬意を払いたい。良作2026/04/11
たまきら
27
昔映画を見て呆然としたのを覚えていますが、本のほうは映画ではうっかり見落としてしまった部分がリアルに立ち上がってきて…ある意味もっともっとむごかった。被害者なはずの女の子たちが受ける仕打ちに呆然。娘が成人するころ、女性の権利はどうなっているんだろう…。2020/08/20
sasha
8
いくらカトリックだからって、いくら1950年代だからって、思いがけずに未婚のまま身ごもった女性から人間性を奪っていいはずがない。1996年まで運営されていたアイルランドのマグダレン修道院。そこは未婚の母になろうとしている女性たちの矯正施設だった。身重の体なのに重労働を課せられ、出産時に麻酔は使用されず、産みの苦しみに声を上げれば叱責され、出産で負った裂傷を縫合することも許されない。神に仕えるはずのシスターがなんでこんなにも冷酷になれるのか。女性だけに罪があるのか?そんなはずはない。2018/05/11
jamko
6
映画を知って興味持ったのだけど実際に観るにいたらぬまま、古本屋で原作と先に出会った。1996年までアイルランドに実在した、未婚の母を収容する特別な施設・マグダレン。当時施設にいた助産師がその悲惨な実情を暴露したノンフィクション。『アイルランド短編集』を読んだときも思ったのだけど、日本とアイルランド似てる。ムラ社会。だからこの本を読んで、うわっ信じられない!とは思えない哀しみ。どう考えても隔離して強制労働させるべきは妊娠させた男なんですが(中には同時期に複数人同じ男に妊娠させられてた。切り落とせ!)。2016/12/27




