内容説明
大津波に消えたふるさとの街に立って岩手の記者たちは何を見たか伝えようとしたか。記憶を未来へつなぐジャーナリストたちの終わりなき闘い。
目次
はじめに 記憶の風化と闘う―地元新聞社は被災地と運命共同体
1 津波常襲地の記者たち(その時、記者はどう動いたか―ドキュメント3・11;街が消えた―陸前高田市を襲った津波の猛威)
2 伝える役目(反響呼んだ避難者名簿―避難所ごとに五万人分;追悼企画「忘れない」―取材の現場から ほか)
3 復興の鎚音(連載「浜よ 再び」―水産三陸の再興に挑む;被災地コミュニティーの現在―なりわいの復興 ほか)
4 支援、交流、そして自立へ(遺児を支える社会の手―未来への希望を紡ぎだす;感謝の気持ちを全国に伝える―特別号外=岩手応援「ありがとう」 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
陸奥☆独り旅
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岩手の県紙、岩手日報社の壮絶な震災対応記。現場を信じ、経験のない事態にあくまで全員の想像力で対応するよう指揮するリーダー、臨機にあくまで自らの判断をもってあたる記者の胆力。何より素晴らしいのは、被災地に、被災された方々の生活と思いに徹底して寄り添う会社と記者の姿勢である。発災時の対応、報道機関としての在り方、生活の再建、そして復興と常に暖かい目と冷静な視線で報じてきたことが、コンパクトにまとめられている。岩手県民、そして震災からの復興を願う皆さんにぜひ一読をおススメします。2013/02/18
冨塚信彦
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読んでおきたい一冊です。このシリーズにしばらく浸ってみます。2013/05/06
かわくん
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出版が母校であり、書いたのは勤務先の仲間。というからではないが、内容はいい。大災害に遭遇した地方の新聞社がどのように取材、報道したかを振り返っている。震災時、記者たちはそれぞれの部署で精いっぱいのことをした。直後には心の整理がつかないままに取材に明け暮れたが、1年半を過ぎてやっと書けることもある。全国的には次第に話題に上ることが少なくなっている津波被害。それでも被災地の新聞は津波の大きな傷と復興という治癒の遅さにこだわって報道し続ける。被災者に寄り添うメディアの在り方を問いかける本である。2012/11/13