出版社内容情報
有名な科学者の知られざる不適切行為から現代のSTAP細胞騒動まで、人物の評伝、事件の経過、歴史的な背景をコラムや図解で紹介。18世紀から現代まで、科学にまつわる欺瞞と不正の歴史を概観する。有名な科学者の知られざる不適切行為から現代のSTAP細胞騒動にいたるまで、人物の評伝、事件の経過、歴史的な背景をコラムや図解とともに紹介する。
ジル・アルプティアン[ジルアルプティアン]
著・文・その他
吉田 春美[ヨシダハルミ]
翻訳
内容説明
歴史に名を残した著名な学者、天才として神格化されている学者でも、現在の基準に照らすと公明正大な人物ばかりでなかった。本書では一八世紀から現代まで、科学にまつわる欺瞞と信じがたい不正の数々を概観する。科学者の知られざる不適切行為から現代のSTAP細胞騒動にいたるまで、人物の評伝、事件の経過、歴史的な背景をコラムや図解とともに紹介する。
目次
1 考古学(カーディフの巨人;ロアタン―国家的な考古学の不正 ほか)
2 生物学と医学(ルイ・パストゥール―伝説と不正のあいだ;オットー・オーヴァーベックの若辺り機器 ほか)
3 遺伝学(グレゴール・メンデルの完璧すぎるエンドウ;シリル・バートと遺伝する知能 ほか)
4 物理学(アインシュタイン―総合の天才?;ルネ・ブロンロのN線)
5 革新的技術(機械仕掛けのトルコ人;夢想家の貴族とテレビ修理屋)
6 進行中の歴史(ヤン・ヘンドリック・シェーン―将来を約束された物理学者のお粗末さ;黄禹錫―クローン作製の英雄 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
80
「盗用、無断使用、剽窃、捏造は駄目だよ」。そう、卒論を書く際の指導を受けていた時、小保方晴子さんのSTAP細胞研究の捏造が発覚した。更には手の平を返したかのようなバッシングにより、人が死んでしまった事を知り、ショックを受けた思い出がある。その後、実用的な研究しかスポットが浴びられず、研究費が削られ、追い詰められ、捏造などに走るしかなかった研究者の実情を知る度に遣る瀬無さが募って仕方ない。勿論、視野の狭さや自尊心や栄誉心のためにそういう事をする人もいたのだが・・・。本書はそんな研究者たちの事を紹介している本2018/03/24
たまご
10
古今のいろいろな科学者たちの疑惑,国家も巻き込んだ大きな詐欺事件がかかれています.シリル・バートは,この前読んだ「オオカミ少女はいなかった」のほうがページも多く丁寧.しかし,やはり人間は見たいものを見たいように見ると実感.科学者も詐欺にあう側も.そして「publish or perish」は本当に正しいのか.昔はlonely 25 yearsなんてザラだった(はず)なのに,今は数年と短期間で結果を求められ,それが収入や地位に直結するのも,盗用・捏造を生む土壌なのでは.粗製乱造でも無造よりはましか…2021/11/23
あっきー
7
有名な小保方さんの研究不正は悲しい歴史であり何の言い訳もできないだろうが、研究不正には何を持って不正というかの曖昧な境界線があるようにも感じた。この本に、アインシュタインやメンデルの名前があるのは衝撃であり、それを不正と言い切れるのか疑問を感じた。2022/01/01
ぷくらむくら
2
「人は見えるモノしか見えない」とは良く言うが、科学者もその枠を越えるのは難しいのだろうなと改めて思った。さて、自分の見えているのは何だろう、と問い続けていくことが大事だと考えます。2018/04/22
てつこ
1
科学者の不正や捏造の歴史に関する本。stap細胞の騒動なと最近の事件はもちろん、パスツールやメンデル、アインシュタインなど歴史上に名を残した科学者たちの功績も、現代の研究倫理に当てはめると不正や盗用に当てはまる。中には国家をペテンにかけた詐欺師並みの科学者の話も。個人的にはソ連のルイセンコの話が興味深い。2020/01/01