出版社内容情報
さまざまな芸術表現を横断しながら、ねじれ、歪み、時には傷つき、さらけ出される身体と格闘した美術作品を論じる異色の肉体表象論。
内容説明
ねじれ、ひきつり、傷つき、腐る肉体。このトポスに派生するあらゆる問題系を鮮やかに論じる。「自然」を特権的な画題としてきたゆえに、希薄な肉体のイメージしか持たなかった日本人が、明治以降、量塊的な肉体表象を持つ西洋美術に対峙した過程を取り上げた「『日本人離れ』の美学」をはじめ、ユイスマンスが魅せられたグリューネヴァルトの磔刑図、フランシス・ベーコンの叫ぶ教皇などの作品を取り上げる。東西の美術・文学・哲学を自在に横断しながら、“肉体”と格闘した美意識を論じる独創的な表象論。
目次
第1章 「日本人離れ」の美学―「他者」としての肉体
第2章 三島由紀夫のバロキスム
第3章 谷崎潤一郎vs三島由紀夫―『金色の死』をめぐって
第4章 人形と彫刻
第5章 寸断された身体―鏡像と画像
第6章 変身と怪物
第7章 ピュグマリオン・コンプレックス
第8章 聖性と腐爛―ユイスマンス小論
第9章 叫びと肉塊―フランシス・ベーコン覚書
第10章 肉体の美術史―芸術の皮膚論講義
著者等紹介
谷川渥[タニガワアツシ]
東京大学大学院博士課程修了。美学専攻。文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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