内容説明
ナマコ―、この奇妙に魅力的な生物の視座から、アジアと日本の歴史を眺めてみると何が見えてくるのか。東北アジア・中国・東南アジアを覆う広大な歴史の舞台で、ナマコがヒト族と関わっていくさまを悠然たる文章で描き出しながら、大文明の下で抑えられ続ける辺境―、とりわけ海の民の重要性を問いかけ、植民地主義万能の思い込みに修正を迫る歴史ルポタージュ大作。90年度新潮学芸賞受賞作。
目次
第1部 太平洋の島々
第2部 アボリジニーの浜辺
第3部 〈東インド諸島〉の人びと
第4部 漢人の北から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
のんき
5
ナマコとヒトの交流史をナマコの視点で描く、というのが本書の骨子。「中央中心主義」では見えてこない歴史像、世界像が拡がる。…いやほんと、たびたび話が横道に逸れていって、でも繋がって戻ってくるのがなんとも楽しく感じられた。2009/10/11
chanvesa
3
領海という観念が近代以降に発生したのでは、という問題提起が一番印象に残っているが、問題提起に溢れている。縦横無尽に話が進むが、ひとつの論点は追求されないから、正直、何だかよくわからない、とらえどころのない本だった。ただし、「ナマコの視点」というイメージは素敵だと思う。クジラというメタファと同じくらい魅力的。2013/05/19
Ishida Satoshi
2
読了。是が非でも食べたい、物凄い美味というわけではないナマコを、多くの手間暇かけて干して旨い料理を作り出そうとする中華圏、アジア諸国におけるナマコ消費の歴史からアジア各国の交流を読み解こうとします。著者の鶴見氏は、消費そのものの対象であるナマコ食に焦点を当てるのではなく、その採集方法、加工、その流通過程に着目して、本文を展開します。ナマコ食文化を、通じて東洋文明の中心であり、巨大な胃袋であるアジアにおける交易圏を考えます。干しナマコは「戻す」という作業が調理上必要ですが、この「戻す」という食文化が東洋独特
オワ
1
不思議ないきもの2023/01/31
藤井宏
1
丸善・ジュンク堂書店の復刊企画の文庫本。中華料理の食材として需要があるため、周辺の東アジア、東南アジア地域でさかんにナマコ漁が行われ、流通していた。金銀銅の不足のため、干しナマコが長崎出島の主要交易品の1つで、最高級品がアイヌの人たちも漁や生産に関わった北海道産であった。スラウェシ島から漁師が季節風とともに渡ってきて、豪州北部でナマコ漁が行われ、アボリジニも漁に加わり、製品は最終的に中国に運ばれる。とても面白かったです。2018/01/06




