内容説明
母は失踪。女の出入りが激しい「たらしの家」で祖父と父に育てられた庭師の雅雪は、両親を失った少年、遼平の世話をしてきた。しかし遼平の祖母は雅雪に冷たく当たり続ける。雅雪も、その理不尽な振る舞いに耐える。いったい何故なのか?そして14年前、雅雪が巻き込まれた事件の真相は?耐え続ける男と少年の交流を軸に「償いと報い」を正面からとらえたサスペンス。
著者等紹介
遠田潤子[トオダジュンコ]
1966年、大阪府生まれ。関西大学文学部独逸文学科卒業。2009年、『月桃夜』で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
99
ふぅ・・・遠田ワールドにたっぷり浸り読後は束の間放心状態に。双子とその母の関係は想像できたが雅雪が何故、ここまで背負うのか何度もイライラした。ラストに向かうあたりも、次はどんな辛いことが?どんな悲しい事が?とマイナスなことばかり先読みしてしまい、私ってどうなのと可笑しささえ感じたのだが、怒涛の結末。しかも明日に向かって明るいラストで本当に良かったです。雅雪の心が遼平に届いてホッとした。子供はちゃんとみているものですねぇ。庭師・雅雪のような家族も有るのだと思うとちょいとキツいなぁ。原田が一番真っ当に見えた。2015/07/09
はたっぴ
86
冒頭からこの小説の世界に入り込み、雅雪の滅私奉公のような人生に歯痒さを感じながら読み進めた。彼の出自が原因でもあるが、両親のいない少年・遼平への献身的な振る舞いといい、読んでいて辛くなる場面が多く滅入るほどだった。雅雪の心を縛る過去の事件が明らかにされる過程でも、なぜ彼はそこまでするのか…と憤りを感じ、感情移入がとてつもない。この違和感や歪さが、親の愛に恵まれなかった子供達の不幸を如実に物語っている。心に刺さった棘が抜けずに歯痒さを感じながらの読書だったが、結末は涙で洗い流され心から安堵した。2017/12/31
ゆみねこ
84
曽我造園の三代目「雅雪」は、両親を亡くした1人の少年の面倒を12年もの間献身的に続けて来た。何故、血縁でもない彼が遼平少年に関わるのか、14年前に起こった事件とは?少年の祖母の振る舞いや、施主の孫の理不尽な暴力など、読んで来て胸が痛くなるシーンもありましたが、最後はメデタシメデタシ。遠田さん、まだ2作目ですが、中々面白いのでハマりそうな予感が。2015/08/17
はる
80
本当に辛くて重い物語です。なのに引きこまれてしまう。何故これほど憎まれなければならないのか、何故これほど耐えなければならないのか。償う必要のない罪を償い続ける主人公の、不器用すぎる生き方があまりに切ない。終盤の展開も情け容赦なくて、もうやめて~と思うくらいでした。それなのにラストは感動してしまって…。ズルいです。2017/08/15
miww
74
初読み作家さん。身体中に火傷を負い、縁のない遼平の面倒を14年間みてきた庭師、雅雪。初っ端から引き込まれ14年前に何があったのか知りたくて一気読みでした。面白かった。遼平と祖母への献身的な償いを理解者である原田や細木老から否定され、迷い苦しむ雅雪の姿にやるせなさが募る。彼のやってきた事は報われるのか。登場する人たちの救いのなさに悶々としたからこそラストは泣けた。2016/02/23




