内容説明
大学卒業後、教師となった和也は埼玉の中学校をへて、故郷の宮城県に戻ってきた。都会とは異なる港町・仙河海市の中学校に赴任。のどかな雰囲気と濃密な人間関係にも慣れたころ、3年生の担任となる。新しいクラスには、転入生がいるのだが、その生徒・早坂希は、何かしら問題を抱えているようだった。そこで、陸上部の顧問でもある和也は教え子たちに一役買ってもらおうとするが…。かつて気仙沼の中学校で教壇に立っていた著者が、教師と生徒における「信頼」という小さな積み重ねの大切さを丹念に描く。
著者等紹介
熊谷達也[クマガイタツヤ]
1958年宮城県生まれ。東京電機大学理工学部卒。中学校教員、保険代理店業を経て、’97年『ウエンカムイの爪』で第10回小説すばる新人賞を受賞して作家デビュー。2000年『漂泊の牙』で第19回新田次郎文学賞を受賞。’04年『邂逅の森』で第17回山本周五郎賞、第131回直木賞受賞と、史上初のダブル受賞を成し遂げる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤枝梅安
93
「小説宝石」に連載された後、単行本化された。「七夕しぐれ」の登場人物が出てくるが、別の物語と言ってよい。中学校教員の和也の述懐は作者自身の経験を織り込んだもので、前半は教員の仕事の忙しさと難しさを柔らかなタッチで描いている。宮城県北部の海岸沿いの年の中学校に希という少女が転校してきて、和也はあれこれと苦労するのだが、走ることに喜びを感じ始めた希は次第に心を開いていく。人物の描き方が軽い感じがするが、ドロドロした部分を排除し、「なので、」(個人的には嫌いな書き方)を多用して若者が読みやすい文章にしてある。2014/07/03
takaC
69
毒気のない素朴な青春小説だった。執筆の経緯は知らないがエピソード美化に若干行き過ぎ感ありかも。無難にまとめられていて読み易かったけれど。2014/07/16
ゆみねこ
59
仙河海という宮城県北の港町を舞台にした物語。若手中学校教員の和也と、彼のクラスに都会から転入してきた少女希の交流を描く。熊谷さんご自身の体験がベースになっていると推察できますね。若い男性教員が女子生徒の扱いに苦労しながらも周りの同僚たちに助けてもらいながら頑張っている姿はほほえましいかも?希のレースのシーンは胸に迫りました。2014/07/03
も
49
熊谷達也さん初読み。全編にわたり爽やかな風が吹いているような作品でした。自分をうまく表現できなかったり、大人に素直になれなかったり、中学生の微妙な気持ちの揺れ動きがよく表現されていたと思います。山河海中の生徒みんないいこたちですね。和也先生の生徒への接し方も立派でした。2015/09/27
BlueBerry
45
教師物としては可もなく不可もない感じです。不良少女を立ち直らせるお話ですね。現在の新人教師への指導教材みたいな感じでした(笑。2014/01/29




