内容説明
夢か、うつつか、物の怪か。俳人・与謝蕪村が垣間見た妖しの世界。心にそっとあかりを灯す珠玉の連作短編。第3回小説宝石新人賞作家、待望のデビュー作(受賞作「梅と鴬」収録)。
著者等紹介
折口真喜子[オリグチマキコ]
鹿児島県生まれ。熊本県の短大を卒業後、就職。2009年「梅と鴬」で第3回小説宝石新人賞を受賞。『踊る猫』がデビュー作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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pino
147
肩の力がすっと抜けるような、蕪村の穏やかな関西弁に導かれながら読了。蕪村が見聞きした怪異譚、9編と「梅と鶯」が収められています。全編に渡り、蕪村が愛でた草木花の香りが漂っている気がしました。そのせいか、怪異といっても不思議と怖くないのです。妖したちの儚く散った思いも様々な離別の悲しみも、みな、自然界に浄化され、その魂に寄り添う蕪村の手により俳句や絵画となり、新たな生命が吹き込まれるのです。狐狸や兎、猫も生き生きしています。今より異界に近かっただろう時代の風情が、蕪村により新鮮な驚きとなって伝わってきます。2019/07/01
みかん🍊
103
初読みの作家さん「家守奇譚」を思わせるような世界観でした、与謝蕪村が見聞きした不思議で美しい話を句や絵に描く短編集、親子の絆を描いた「夜の鶴」「梨の花」若い夫婦の夫婦愛が描かれた最後の「梅と鶯」には涙しました。幽霊や河童、マヨイガ等の古来の幽玄な世界ではありますがおどろおどろしくなく、どれも美しくも哀しく切ない作品でした。表紙がまた可愛く素敵です。2016/06/01
mocha
98
与謝蕪村が見聞きした不思議な話9篇と、作者のデビュー作『梅と鶯』。温かくて大きな与謝蕪村の人柄がとてもいい。俳諧・日本画・あやかしとくれば、かなり好物。どの話も優しくてちょっとせつない。表題作『踊る猫』にはあの人がゲスト出演!上田秋成ってやなヤツだったの?2016/04/20
依空
88
俳人であり画家でもあった与謝蕪村の元に集まる少し不思議なお話9編と、デビュー作を収録した短編集。怪異譚に近いけれど、大切な人を亡くす悲しみや恋に苦しむ人たちの感情に共感しやすいからか、または柔らかい語り口のおかげか、怖さよりも温もりの方を感じるお話ばかりでした。最初はあまりしっくりこない部分もあったのですが、「雪」から先は様々な感情に揺さぶられ、あとは一気に物語の中に入り込めました。作中の蕪村の人柄や、俳句や絵を見て、何より表題作「踊る猫」のラストを読んで、これまで以上に蕪村に興味を持ちました。2016/02/28
はる
81
物の怪に幽霊、化かす動物。与謝蕪村がふと耳にした少し不思議な体験談。静かな文章が良い雰囲気です。江戸時代の、まだ夜は全くの闇で、山はどこまでも深い。そんな時代だからこそ人の情の有難さ。一気に読んでしまうのが勿体無くて、間を空けてじっくりと味わいました。どの話も優しい雰囲気なのが良かったです。なかでもラストの「梅と鴬」は感動作。2015/07/18




