内容説明
浅井久子は、12年前に夫をひき逃げで亡くした。犯人が分からないまま時効を迎えた今も、悲しみが癒されることはない。夫の事故現場を訪れたところ、久子は奇妙な女性を見かける。もともと霊感があった久子だからこそ見える存在。彼女は幽霊だった。その女性はある殺人事件の被害者であり、すでに時効が成立していた。娘の行方を捜して彷徨う彼女の手助けを買って出る久子。情報を集めていくうちに、お互いの事件にも動きが…。一人の主婦が「真実」に辿り着くまでを描いた異色ミステリー。
著者等紹介
新津きよみ[ニイツキヨミ]
1957年長野県生まれ。大学卒業後、旅行会社、商社勤務を経て、’88年に作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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モルク
96
轢き逃げで夫を失った久子は、轢き逃げされそれを隠蔽するために殺された政子の幽霊と出会う。そして始まった奇妙な同居生活。それぞれの事件は既に時効を迎え犯人は未だにわからない。政子の娘加奈子そして新聞記者の矢野との繋がりによって新たな展開が…幽霊であっても怨めしいという感情より娘を思う母心に溢れ怖さはない。そして時効で罰せられないとしても罪は罪。償う気持ち、謝罪する気持ちがない限り心安らかになることはない。とても読みやすく、最後のシーンではほろりとする。2023/09/03
さっこ
74
轢き逃げで夫を亡くした久子。犯人は見つからず時効もとうに過ぎた。訪れた事故現場で政子という女性と出会い奇妙な同居生活が始まる。政子自身も殺人事件の被害者で、そして幽霊。「罪を償う機会を与えない限り、罪を犯した人間も救われない」それぞれに時効を過ぎた事件が動き出す。理不尽に亡くなってしまった人と残された人の心の嘆きは、謝罪だけで癒されるのだろうか。無理だよね。最後はあっさり終わった感じはありますが、一つの区切りをつけた前向きな終わりでした。2021/10/20
taiko
65
夫をひき逃げ事故で亡くした久子。犯人はわからないまま、事件は時効を迎えていた。夫と同じくひき逃げ事故で亡くなった政子の霊と出会ってしまう。…初読みの作家さん。とても読みやすく、さらっと読了しました。幽霊との同居という不可思議な展開も、言葉巧みで、決して違和感なく読み進めることが出来ました。夫を殺めた犯人が誰なのか知りたいと思っていた久子、この世に心を残していた政子、母の死は自分のせいと思いつめていた加奈子、皆の思いが最後に遂げられて良かった。時効が廃止された今、解決を見ない事件がなくなることを願います。2017/11/24
ゆみねこ
58
夫をひき逃げ事故で失った久子は、命日に彼の好きな野の花を供えに事故現場を訪れる。そこで出会ったのは17年前に殺された政子。彼女の姿は久子にしか見ることが出来ない。罪を犯して逃げている人を許せるかどうか、奇しくもこの二人の女性に関わった犯人の現在の状況は悲惨なものになってしまっている。「罪を償う機会を与えられない限り、罪を犯した人間自身が救われない」このことを作者は訴えたかったのでしょうね。2014/03/02
キムチ
45
交通事故の時効は5年のままで改正なし。何とも合理性に欠く現状。そのひずみの犠牲者の女性久子と政子。一方はいわれある存在で奇妙な同居が始まる。17年感のとまった時計が動きだす。加奈子にかける母のまなざしはいかにも女性的なそれ。最後に至る犯人の扱いもやはり男性(薬丸、楡氏等)と比べて綺麗ごと過ぎて生煮えの気分で終わった。 筆者は「犯人が分かった時点で明ける封筒で涙する」久子の気持ちへ『時効』と名付けることで心のピリオドを綴りたかったのだろうか。2014/01/21
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