内容説明
疼く。騒めく。震える。亡き女房と瓜二つの女。五寸釘が首を貫く禍々しい死。欲に呑み込まれていく、商と政。剣呑で厄介な同心・木暮信次郎×刺客の過去をもつ商人・遠野屋清之介。男たちは、どう決着をつけるのか。
著者等紹介
あさのあつこ[アサノアツコ]
1954年岡山県生まれ。小学校の臨時教員を経て作家デビュー。「バッテリー」シリーズで野間児童文芸賞、日本児童文学者協会賞、小学館児童出版文化賞を、『たまゆら』で島清恋愛文学賞を受賞。児童文学、青春小説、SF、ミステリー、時代物と、幅広いジャンルで活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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初美マリン
137
相変わらず、鋭い木暮さん、ぶれない遠野屋、満足しました。2019/08/26
utinopoti27
116
人の心に巣食う闇を徹底的に描き倒す「弥勒シリーズ」第9弾。今回は首に五寸釘を打ち込むという猟奇殺人の謎を巡って、小間物問屋・遠野屋清之介の抱える闇に、利権を狙う魑魅魍魎たちが忍び寄る。そこに北町奉行所同心・木暮信次郎がどう絡むのか、ゾクゾクする展開が待ち受けています。清之介と信次郎、この二人の剣呑な関係は、シリーズの核心をなすプロット。強靭な精神力で、内に棲む鬼を押さえつける清之介のわずかな隙をこじ開け、無遠慮に踏み込む信次郎。また新たな魔物が誕生する予感も禍々しく、まだまだ行く手に光は見えません。2019/07/02
タイ子
115
弥勒シリーズ第9弾。ますますのめり込んでいくこの作品。ぶれない人物像、マンネリ化しないストーリー。毎度のことながらあさのさんの人間の内面を表現するありとあるゆる言葉、文章に圧巻さえ覚えます。死に隠された真相、陰謀を解き明かしていく信次郎と伊佐治がやはり行きつくのは清之介のところ。この流れで繋がった!と思う時の何とも表現し難いヒリヒリ、チリチリ感が堪らない。そこにきて、今回清之介に弥勒と言わしめた亡妻に瓜二つの女が登場するという、こんな展開面白すぎ!江戸の格差社会を普通に生きようともがく人間たちが愛おしい。2019/08/27
タツ フカガワ
89
居酒屋での男二人のケンカが、その後意外な事件へと発展するシリーズ9作目。同じころ亡き女房おりんに瓜二つの女を見て取り乱す遠野屋清之介。異常犯罪にほくそ笑む町方同心木暮信次郎。その信次郎が事件の真相に迫る後半は一気読みの面白さでした。また信次郎が遠野屋の女中おみつに箒で叩かれそうになる場面なんて、シリーズ初めてではないかしらん。2019/09/24
ひらちゃん
78
そうきたか。おりんに瓜二つとくれば遠野屋とて惚けるはずだ。シリーズ9弾でも飽きさせない。それどころか益々嵌っていくばかりだ。真っ当に歩んでも血を呼んでしまう遠野屋と、これでもかと人とは思えぬ狂気に笑いが止まらない木暮信次郎。鬼だ。鬼はここにもいる。伊佐冶親分だけじゃもう止められやしない。読者だってもう癖になりすぎて止まらないよ。いやもう参った。2019/06/14