出版社内容情報
中山七里[ナカヤマ シチリ]
著・文・その他
内容説明
巷を騒がす西成ストーカー殺人事件を担当している、大阪地検一級検事の不破俊太郎と新米検察事務官の惣領美晴。どんな圧力にも流されず、一ミリも表情筋を動かすことのない不破は、陰で能面と呼ばれている。自らの流儀に則って調べを進めるなかで、容疑者のアリバイは証明され、さらには捜査資料の一部が紛失していることが発覚。やがて事態は大阪府警全体を揺るがす一大スキャンダルへと発展し―警察内から裏切りと揶揄される不破の運命は、そしてストーカー事件の思いもよらぬ真相とは―大阪地検一級検事・不破俊太郎。孤立上等、抜き身の刀、完全無欠の司法マシンが、大阪府警の暗部を暴く!
著者等紹介
中山七里[ナカヤマシチリ]
1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
513
中山 七里は、新作中心に読んでいる作家です。検事なので地味な作品かと思いきや、最後にサプライズもあり、愉しめました。現実の大阪府警もどうしようもないですが、かなりリアリティがありました。シリーズ化および御子柴弁護士との対決を希望します。2018/08/26
ウッディ
403
取調べの時はもちろん、苦境に立たされても、感情を出さず真実を暴いていく能面検事こと不破俊太郎。スピード解決と思われたストーカー殺人の真相だけでなく、大阪府警の闇もを明らかにする。“くせがすごい”新キャラの検事です。隠蔽捜査の竜崎さんと佐方検事を足して2で割った感じでしょうか?同僚になるのは嫌だけど、敵にするのは怖ろしい。けれど、保身に走る今の司法にはこんな検事が必要です。装丁とタイトルで損をしているような・・。連作短編の形で次々と事件を解決する彼の姿と美晴の成長物語も読みたい。今後に期待の作品でした。2019/02/21
サム・ミイラ
303
読んでいる最中ひとりの人物を連想した。今野敏の生み出した竜崎伸也。そうまさにこれはもうひとつの隠蔽捜査である。原理原則・合理主義・世のしがらみとは無縁の男を更に進化させたような不破検事の一挙手一投足に呆れながらも拍手喝采。しかも感情を一切顔に出さぬまるで能面とくればもう完璧。ある殺人事件をきっかけに大阪府警内に横行する証拠品紛失事案に問題は波及してゆく。当然のごとく巻き起こる反感と確執。そして謎解きに一気読み必至の良作である。さすがの中山七里。ただしタイトルで少し損をしている気もするけどね(笑)2018/11/09
しんたろー
300
「う~ん、中山さんなら、もっと上手く書けるはず!」と思ったのが正直なところ…検事・不破のキャラは悪くないし彼の行動原理も正しいのだが、共感を呼べるような肉付けが足りず『隠蔽捜査』の竜崎ほどの魅力は感じない。対比として駆け出し事務次官・美晴を置いてあるが、それも新人のステレオタイプなのでイマイチ。事件も予想がつく展開と結末なので淡々と読み終えてしまった。私にしては珍しく辛口に終始した感想になってしまったが、殆どの中山作品を読んでいるファンゆえに、愛を込めてエールを送りたい💛「続編でリベンジして下さいね!」2018/11/13
いつでも母さん
269
これは・・また面白い男を中山さんは生み出しましたね。この何にも左右されない・感情が読めない『能面』と言われる検事・不破!そして、対照的にリトマス紙と揶揄される新米事務官・惣領美晴。この対比も面白い。連作5話!これは完全にシリーズ化ですね。楽しみに待つとしよう。それにしても、中山七里。仕事し過ぎじゃないですか?嬉しいですが(笑)2018/08/19