出版社内容情報
下村敦史[シモムラ アツシ]
内容説明
29歳の如月玲奈は、東京入国管理局で働く“難民調査官”。補佐の高杉と共に、難民申請者が本当に母国で迫害される恐れがあるのか、調査するのが仕事だ。ある日、ムスタファというクルド人難民申請者が、合法的に来日しながらパスポートを処分し、なぜか密入国者を装っていたと発覚する。その頃、ネットカフェ難民の西嶋耕作は、自分の通報が原因で家族想いのムスタファとその妻子を引き裂いたことを悔いていた。善良そうに見える難民申請者は、一体何を隠しているのか?現在最も注目される乱歩賞作家が難民問題に鋭く切り込んだ、怒涛のポリティカル・サスペンス小説。
著者等紹介
下村敦史[シモムラアツシ]
1981年京都府生まれ。1999年に高校2年で自主退学し、同年、大学入学資格検定合格。2006年より江戸川乱歩賞に毎年応募し、2014年に9回目の応募となる『闇に香る嘘』で第60回江戸川乱歩賞を受賞。デビュー作ながら「週刊文春2014ミステリーベスト10」国内部門で2位、「このミステリーがすごい!2015年版」(宝島社)国内編で3位にランクインした(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
201
一部の人間のイデオロギーや民族主義に囚われ、正義と思い込んで暴走するから偏見と対立が生まれるのかい?それだけではなく世界の安全は色んな意味で日に日に脅かされていると感じるのは私だけではないだろう。難民調査官・・読めば読むほど悩みは尽きず、この仕事は私には無理!って事だけは分かる!しかし現実に世界には『難民』がいるのだ!!それも多様で・・(隠れ蓑にしている輩もいる)そして、国内は自国民より外国人が多くなる日も近いか(汗)少子化ニッポン、それはそれで仕方ないとも思うが。では、いったい私に何ができるだろう・・2016/07/17
ダイ@2019.11.2~一時休止
195
難民問題がテーマ。個人的には不正が多そうという印象だから難民認定はなかなか難しいんでしょう。実際に従事されている方には是非頑張ってもらいたいと考えさせられた。2016/06/14
しんたろー
192
平和ボケした無知な私にはガツーンと鉄槌を喰らわされた作品…クルド人の歴史的な背景と現状、世界と日本の難民問題、日本における差別などが密接に絡んだ社会性の高いテーマを判り易く紐解いていることは素晴らしい!他の作品でもそうだが、下村さんの熱い想いが伝わってきて、自分の不勉強を恥じながらも考えさせてくれたことに感謝したい。小説としては登場人物に単なる役割的な描写が多く、心情が上手くないのと、盛り上がりが弱いという欠点を今回も感じたが、補って余りある熱量とドキュメンタリーのような展開で楽しめた。続編も読みたい♪2018/07/27
あすなろ@no book, no life.
155
難民政策に関する圧倒的な情報量と読者の考察量はいつもと変わらずハンパない。そして下村ファンとして。ひょっとして丁寧かつ平易な展開を少し意識された最新作ですか?応援している方なので、いつも同様強めの発言にご容赦を。なので強引なストーリー運びが鳴りを潜めかけていると思う。でもそれがないと、この情報量を消化しきれないこともある。この点が洗練された時が新たなる作品が生まれる⁈と言いながらも、次作を待ってますね!下村さん。批評家になってて申し訳ありません。2016/06/22
nobby
143
確かにミステリーとしての醍醐味はそれほどでもないが、難民という分かりにくいテーマを掘り下げた力作はまさに小説版の池上さん(笑)遥か昔な大学時代に中東を学んだ自分としては、エセで知ったかぶり程度の認識はあったが、難民にそこまで認定困難な定義があるとは知らなかった…あらためて島国 日本の平和を噛みしめながら、民族・宗教といった閉鎖性にも思い至る。読み進める中で、“右”と“左”に始まって、“悪”があるから“正義”が生れる、“弱者”と“強者”その相対的な概念は立場変われば入れ替わるなど考えさせられるばかりだった。2018/01/31




