出版社内容情報
平岩弓枝[ヒライワ ユミエ]
内容説明
「昭和大衆文壇の父」と呼ばれる長谷川伸が主宰した小説勉強会「新鷹会」。会での恩師・長谷川との対話はまさに一期一会の真剣勝負。そこから村上元三、池波正太郎など数多くの人気作家が生まれてきた。平岩弓枝の監修による本書には同会作家による九篇を収録。武士や職人、料理屋の娘など、出会いと別れの一瞬を生きる者たちの一途な想いが胸に沁みる傑作時代小説集!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
あつひめ
26
最近、時代小説を読むようになり、アンソロジーなら複数の方の作品に触れられると手に取った。全員が初読みの作家さん。長谷川伸さんの「名人竿忠」は古典落語を聞いている気分で、活字かららポンポンと会話のやり取りが聞こえてきた気がした。山手樹一郎さんの「浪人まつり」は平さんとお浜の駆け落ち、「駆け落ちは裸足に決まってるじゃありませんか」の言葉にいつの時代も腹が決まると女は強いと微笑ましく読み終えた。小説だから架空のことだけど、その時代から脈々と受け継がれているものもあると改めて感じた。時代小説、おもしろい。2024/12/27
ごへいもち
11
長谷川、このスタイルに慣れない。村上、池波、まあまあかなぁ。山手、特段のこともなく。戸部、田岡、武田、神坂、何とも。平岩、安定。このシリーズ、平岩弓枝だけ読めばいいな2026/02/26
山内正
5
お春ここお酒よ 母はひっそりと死んでいた小銭を紙に包み手に せめて子供にと 死んだってのに家に帰りもせずに 帰るなり水をと叫ぶ父親 喧騒な店の中で、黙ってそのまま聞くんだ袋物屋が言うお前が好きだ 惚れたんだ明日も来ると 言われた言葉が駆け巡る 知合いの囲い者にならないか突然に 店主が言い出す 明くる日女中の話し声がする 袋物屋が昨日殺されたと お春は家を移りちりめん屋を待つ 床もひかず男の妄想を満足する様に 犯す この男も店主にも父親は金を借りてた 私が姿を消さないと 十日程しお春は死んだ 父親に見付かり2021/04/28
山内正
4
光の中を一人歩いて躊躇われず門を潜り多くの人が話してる 六十位の婆さんがお前はまだ来なくていいと 父と母の声で起きる 熱が酷かったからねと 治っても時々婆さんが浮かんでくる 年の暮病弱な次男が急死した 父は仕事から手を引き長男に 甲州へ仕入に手代と発って五日 手代だけが戻り崖から落ちて死んだと 弔いに仏間に婆さんがいてこっちを振り向く 父が昔行倒れの婆さんを見殺しにした事がと話した 入婿を貰い三年し火事で逃げ出す 二町逃げた時婆さんとすれ違う 夫にあの婆さんと指指すが 夫には見えない2022/03/29
山内正
3
西に大川向こうに吉原の屋根が見える 正月四日店を休み庄兵衛が 気儘に黒い蕎麦を打つ 四十男が立寄る 黙って黒蕎麦を ペロリと一皿お代わりと言う 正真正銘の真田蕎麦だと 小さい頃信濃にいたよ 正月四日に又来ましょうかね 翌年来て小女がいた女将さんはお亡くなりなすったかね 今度は再来年と帰った 岡っ引きが立ち寄りこの先の寺に 寺男に成りすましてた奴を盗人と 捕らえたと 親玉が別にいて盗みの時女を犯すらしいと 来年来ますよ親分と 四日客が来た 盗み働きの時女を犯すんですか 捕り方が縄を掛けた 真田蕎麦忘れねえで2021/02/18




