内容説明
戦後まもなく創刊され、乱歩の「幻影城」、横溝の「本陣殺人事件」を連載、さらに島田一男、山田風太郎、高木彬光、鮎川哲也などきら星のごとき作家たちを世に送り出し、現代ミステリーの礎となった名雑誌「宝石」。そのピークともいえる一九五〇年に掲載された作品を精選。幻の作家・魔子鬼一の異国趣味溢れる長編「牟家殺人事件」はじめ傑作満載のアンソロジー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
10
本書の半分を占めるは長編「牟家殺人事件」。中国人が織り成す殺人事件というのは目新しいものの、内容とトリックは特に目新しくなかった。探偵役というものが存在せず、流されるままになにやら事件が終わったというのは逆に珍しいのかも。短編で面白かったのは「四桂」、詰将棋とトリックの結びつけはやや強引なものの、最初から最後までこの棋譜が取り付いて離れない内容で読み終わって満足。軽妙な「模造犯人」メルヘンチックな「妖奇の鯉魚」と収録内容がバラエティに富んでいるのはいいものであった。2012/05/22
tokyo-zodiac
1
魔子鬼一『牟家(ムウチャア)殺人事件』日本留学から帰国した佟嘉文は、幼馴染の鳳鳴と5年ぶりに再会する。鳳鳴は父・牟華盛の第四夫人・婉霞のお供で酒場に来ていたが、そこに牟家から華盛が何者かに狙撃されたとの連絡が入る。幸い命は取りとめたが、屑籠の中から婉霞夫人の容疑を決定づける手紙が発見される。差出人は不明だが、それは要求する金を出せば、夫を亡き者にしてやろうというものだった。だがその直後に婉霞は毒を飲んで死亡する。覚悟の自殺かと思われたが彼女は今わの際に”自殺じゃない”と…その後も牟家では次々と怪死事件が…2017/05/15
kiriya shinichiro
0
そういえば、岡田鯱彦を読んだことなかったかも、と思って読んでみた。いいお話でした。エッセイ部分もいいね。問題は60年以上たっても、この先にいってない人がいるってことだ。2016/03/27
MIRACLE
0
1950年の雑誌「宝石」に収録された中短編を収録した作品集。その中心が中編「牟家殺人事件」。舞台が戦中の北京で、登場人物の名前に慣れるのに苦労した。読んだ感想。召使いの性別がばれないなんてことがあるのだろうか。19頁「婦人の牟張氏(中国の古い女には名前がなく、張家から牟家に嫁した女をこんな風に呼ぶ)」。岡沢孝雄「四桂」は将棋を題材にした作品で、棋譜も掲載されていて楽しめた。椿八郎「贋造犯人」は結末が鮮やかな作品。宮原龍雄「首吊り道成寺」は今ひとつ。岡田鯱彦「妖奇の鯉魚」は結末が軽いのが惜しい。2025/06/29




