内容説明
一九六〇年代初め、大国は覇を競い東西冷戦構造を色濃くしていった。世界の火薬庫と化したイスラエル、六〇〇万人に及ぶユダヤ人を抹殺したアイヒマンに対する裁判、パリでのOAS(米州機構)反対デモと弾圧する権力の衝突、核実験を行ったソビエト…。現場を訪れ、筆者が目のあたりにした「世界情勢」を鋭く描き出したルポ。サルトルとのインタビューも収録。
目次
一族再会
裁きは終りぬ
誇りと偏見
ソヴェトその日その日
ベルリン、東から西へ
声の狩人
核兵器 人間 文学(田中良)
サルトルとの四〇分
著者等紹介
開高健[カイコウタケシ]
1930年大阪市生まれ。大阪市立大卒。’58年「裸の王様」で芥川賞を受賞して以来、次々に話題作を発表。ベトナム戦争のさなか、しばしば戦場に赴いた経験は、『輝ける闇』(毎日出版文化賞受賞)、『夏の闇』などに凝縮され、高い評価を受けた。’79年『玉、砕ける』で川端康成文学賞、’81年一連のルポルタージュ文学により菊池寛賞、’87年、自伝的長編『耳の物語』で日本文学大賞など、受賞多数。’89年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さっと
8
イスラエル、ソ連、東西ドイツ、フランスを旅した海外放浪の見聞録。いまから半世紀以上前のルポで大戦の記憶は生々しく、戦後の主導権争いには核の抑止力が物を言う。「イスラエル人は二千年前の所有権を主張し、アラブ人は二千年間居住した占有権を主張する」「神はどこかに所属し、身分証明書を持たねばならないらしい」「ソヴェトには三つの世代がある」「国境とは、けだし、この悪名高いが大流行の瓶(※コカコーラ)の、あるところと、ないところの、その境いめのことなのであるか」60年前からわれわれは何も変わっていないのじゃないか2020/11/04
紙の友
4
方や自分は体制の歯車であったで押し通そうとしたアイヒマン、極悪非道な個人像を暴こうとし最終的に復讐を遂げたイスラエル。「母なる夜」の基盤が見える。一方個々人が社会の歯車でありながらもそれぞれに個性を持つスターリン批判後のロシア人達。奇妙な強盗達が愉快だった。イスラエルのギブーツや中国人達への記述見るにこういった人間像を理想とはしていたが、核政策への盲従には我慢がならなかった。第二次大戦と確実に地続きだった時代。 2025/08/04
マーク
3
32 左派ジャーナリストであった。下記三遍のみ読んだ。 ●キブツ まだ存在するんだ。共産主義。イスラエル独立以前から。 ●アイヒマンとトルーマン 戦争裁判の在り方。しょうし勝者が敗者を裁く。 ●サルトルとの40分 時代を感じる。ソビエトへの期待とソ連が核開発することへの失望⁉️ 結構過激な反体制。 2021/02/05
Yasushi I
1
今から60年近く前に書かれたルポの選集。東西冷戦が始まったばかりの背景には隔世の感があるが、それだけ古い作品であっても開高健の鋭い感性と磨き抜かれた文章に、逆に新鮮さを感じた。2017/11/26
タナハシリ
1
60年代初頭のイスラエル、ソヴィエト、東西ベルリン、パリを巡るルポルタージュ選集。思想、国家と個人の関係など、現代とは大きく異なるうねりを開高健が切り取っていきます。その中で、資本主義における個人には、広範に「自由からの逃亡」が起きていると考察していますが、現代社会においてはどのような解釈になるか気になるところです。2016/05/25




