ありふれた愛じゃない

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  • サイズ B6判/ページ数 468p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784163900360
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

誠実で穏やかな年下彼氏と、奔放で激しい元彼との間で揺れる32歳の女心――すべての大人の女性に贈る激しく切実なラブストーリー。

藤沢真奈は32歳、銀座の老舗真珠店でチーフマネージャーを務める。お局の部長に目の敵にされながらもやりがいをもって接客に励んでおり、顧客の信頼も厚い。私生活では6歳下の大野貴史と半同棲状態にあり、結婚も遠くなさそうだ。夢ばかり見るかつての恋人との苦い生活を経て、真奈は安心と穏やかな日常を望んでいた。ある日、真珠店の高橋社長に呼び出された真奈は、タヒチ出張への同行を命じられる。真珠を買い付けに行くのだ。抜擢を喜ぶ貴史にも背を押され、真珠の猛勉強を始める真奈。「気の早い新婚旅行」で自分も後から向かうという貴史のプロポーズに泣きたいほどの幸せを感じた真奈は、しかしどこか心細さを感じていた。
タヒチで真奈は意外な人物と再会する。かつて熱烈に愛した男、朝倉竜介だ。大学時代からつき合っていた竜介は、まるで生活能力のない男だった。卒業後もろくに働かず、口癖のように「南の島でヤシの実でも採って適当に暮らしたい」と言うばかりの竜介に真奈は疲れ果て、生皮を剥ぐ思いで別れたのだ。そんな中、トラブルで貴史の到着が3日も遅れることに。心細さを抱えたまま、タヒチの開放的な風土と本能のままに生きる人々に囲まれた真奈は、一層増した竜介の逞しさと官能性に胸をざわめかせる自分に気づき、貴史への罪悪感に心悩ませる―?
同性上司との対立と和解、自分らしく働きたいという思い、年下の恋人への遠慮、人生で最も愛した男の記憶……恋愛と仕事に心揺れる大人の女性であれば誰もが胸に覚えのある切実なテーマを描き、読む者のこころを強く捕える、激しいラブストーリーが完成した。 著者は2度のタヒチ取材を敢行。美しい海や島々の豊かな自然、世界一のリゾートホテル「セント・レジス」の豪奢な空間、人々で賑わう朝市や屋台村「ルロット」の猥雑な魅力、出産のために訪れるクジラ……精緻な描写で楽園の島の風物もリアルに伝える。

内容説明

いったいどうすれば、あの男にこれ以上惹かれずにいられるのだろう。未熟だがまっすぐな年下彼氏との婚約に満足していたはずの真奈が偶然再会したのは、社会不適合だが危険なほど官能的な元カレだった。揺れる心と躯。楽園の島タヒチで真奈が選んだ愛とは?

著者等紹介

村山由佳[ムラヤマユカ]
1964年生まれ。立教大学卒業後、不動産会社勤務、塾講師などを経て作家デビュー。93年『春妃デッサン』(『天使の卵―エンジェルス・エッグ』に改題)で小説すばる新人賞、2003年『星々の舟』で直木賞、09年『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、柴田錬三郎賞をトリプル受賞。13年4月より、NHK‐FM『眠れない貴女へ』のパーソナリティを隔週で務めるほか、歌詞提供など、広く活躍の場を広げている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

hiro

213
主人公真奈は32歳、銀座の真珠店のチーフマネージャー。社長と二人で初めてタヒチへ真珠の買い付けに行き、仕事が終わった後もタヒチに残り、6歳年下の恋人貴史と休暇を過ごす予定だったが、そこで再会したのは会社生活に順応できなかった元カレ竜介という王道の恋愛小説。タヒチという舞台設定がこの小説をより盛り上げる。仕事の上でも成長したい、年下の貴史に対する物足りなさ、女性として本能的な竜介への愛など、揺れ動く真奈が最後に選択するのは・・・。ホテルのバーテンダー、ジョジョがいい味を出していた。タヒチに行きたくなった。2014/06/03

masa@レビューお休み中

171
ブルーな気持ちにさせられる。たとえて言うなら、暗い海の底に沈められたかのような感覚といえば良いだろうか。誰にでもあり得る現実がここには用意されている。現実という魔物には勝つことができない。女上司に目をつけられてしまう自分、年下の彼氏に引け目を覚えてしまう自分、起きたことをすべて不運のためだと嘆く自分。負の要因は、その他のすべての幸運を相殺してしまう。それが、タヒチに行ったことによって、すべてが崩壊してしまう。ここにあるのは、決してありふれた愛じゃない。誰しもが手に入れることができるようなものではないのだ。2015/02/13

☆ぉりん☆

148
ボラボラの気温や情景に包まれて、久しぶりな充実感。◆年齢的に穏やかな愛でいいんだと思いながら、優しさに物足りなさを感じ、強引な男に惹かれるんだよね。真っ直ぐすぎる愛を返せないと感じたり、『相手が自分に向けてくれる思いとの温度差は罪悪感をもたらし、疲れすら覚えてー』◆しかし、真奈は相当いい女なんだろうな。それに芯が強くて、理性をちゃんと保てるのがすごい、私だったら…流されそうな場面が多数。◆余談だけど、読めない漢字や意味がわからない言葉が沢山あって勉強にもなった。◆いつかボラボラのセントレジスに泊まりたい。2015/03/07

❁かな❁

147
久しぶりに村山由佳さんの作品読みました!読みながらいろんな気持ちになり、何度も泣いてしまいました(/ _ ; )主人公の真奈は32歳。彼氏は6歳年下。お仕事でタヒチに行き、そこで10年振りに昔、一緒に暮らしていた彼氏と再会して…。お互いに今は別の相手がいて、本来ならいけない恋だとわかっていても、どうしても忘れられない相手との再会だと気持ちが揺れるだろうなぁと思います。タヒチには高校生の頃から憧れていたので綺麗な景色が浮かんでひき込まれました!切ない想いや熱い想いになり一気読みでした♪とても素敵な作品です♡2014/10/28

utinopoti27

137
6歳年下の彼氏と結婚を目前に控えた主人公の真奈ですが、仕事で訪れたタヒチで偶然にも前の恋人と再会してしまいます。逞しい生命力に溢れた前の恋人にまた惹かれるようになった彼女は、禁断の選択をしてしまうのか・・。う~ん、これってありふれすぎてやしませんか?でもここは、こんな手垢のついたプロットを、格調高く仕上げる作者の力量に感嘆すべきなのでしょう。とりわけ、鮮明なイメージに彩られたタヒチの臨場感は出色の出来映え。ただ自分としては、身勝手なヒロインに翻弄される、散々な描かれ方の年下クンが気の毒に思えるんだよねえ。2018/07/11

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