出版社内容情報
近代日本政治史研究の基本文献として今なお高い評価を受けている名著を、待望の新装復刊。平民宰相原敬の時代を描く。
日露戦争後,急激な産業発展にともない生じた人口増加と都市への人口集中は,護憲運動,米騒動,労働運動を噴出させる.政府はそれに対して,内務省機構の強化を図る・平民宰相原敬と元老山縣有朋の衝突は激化する.【初版1968年】
【著者紹介】
升味準之輔:元東京都立大学名誉教授
内容説明
原にかわりうるほど卓越した政党指導者は政治的地平線のどこにも見出しえなかった。行政の充実化は官僚機構のさらなる政党化をもたらした。平民宰相・原敬と元老・山県有朋の相互依存は、ふたりの不満と猜疑を内包しながらも、一つの時代をかたちづくる。
目次
第10章 地方政治と産業化(地方における実業と政治;産業化と都市化;労働運動と社会主義)
第11章 官僚制と政党化(官僚制の発展;専門化と政党化)
第12章 原=政友会内閣(政友会の組織と指導;原=政友会内閣)
感想・レビュー
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バルジ
3
第4巻では明治国家の政治勢力の土台が変容し政府に後れながらも地方・官僚組織の中央志向化、政党化が進展。新たな政治アクターとして「労働者」の擡頭と内外の政治的変転に対応する原敬と山県有朋の姿を描く。山県等から「私党」と嘲りを受けながらも政党は着実にその地歩を固め政治勢力として確固たる地位を占めるが、そこに労働者という新たな政治勢力が登場、思想的政治的な一波乱を投げかける。山県、原ともにこの混乱を肯んぜずここに原敬内閣の登場を迎える。しかし暗殺と生物学的寿命により、この協調は文字通り消え後には混乱が待つ。2022/11/25