出版社内容情報
ジャーナリズムはいかにあるべきか.1945年の敗戦以降からの戦後日本ジャーナリズム史研究の領域を確立し,メディアが多様化する現代に対して,戦後の日本社会におけるジャーナリストたちが創造的な言論・報道を体現していく歴史をひもとき,ジャーナリズムの思想的財産を解き明かす.
目次
戦後日本ジャーナリズム史の革新
第1部 日本近現代のジャーナリズム史の特質(「不偏不党」の形成史;一九六〇年代という報道空間)
第2部 ジャーナリズム論の到達点(ジャーナリズム論の先駆者・戸坂潤;荒瀬豊が果たした戦後のジャーナリズム論)
第3部 ジャーナリストの戦後史(企業内記者を内破する原寿雄のジャーナリスト観;「戦中派」以降のジャーナリスト群像)
第4部 戦後ジャーナリズムの言論と責任(『世界』編集部と戦後知識人;清水幾太郎を通した竹内洋のメディア知識人論;八月一五日付社説に見る加害責任の認識変容)
日本社会のジャーナリズム文化の創出に向けて
付録 近現代を結ぶメディアのキーワード
著者等紹介
根津朝彦[ネズトモヒコ]
1977年生まれ。総合研究大学院大学文化科学研究科日本歴史研究専攻博士後期課程修了。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員PD、国立歴史民俗博物館機関研究員を経て、立命館大学産業社会学部メディア社会専攻准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
94
今までに日本のジャーナリズムをこのように地道に分析した本は今までには見当たりませんでした。新書やあるいは週刊誌などでは一般受けするような内容を書いていますがここにはそのようなことはなく様々なマスコミメディアを分析しています。ただ最近の状況についてはあまり触れられていません。現在の政府にいいなりのマスコミ分析をしてなぜこのようなことになったのかを知りたい気がします。2019/07/07
K.H.
5
うーん、評価が難しい。ボリュームたっぷりの読み応えのある本で、著者の狙いが本人の言通り「ジャーナリズム史研究の拡充のための叩き台」にあるのだとしたら、成功なのかもしれない。しかし本書単体では読み物としていささかまとまりに欠ける、という印象になる。特に著者がいちばん力を入れている第6章は、個々人の経歴と事実関係のただの羅列(20人以上のジャーナリストを扱っているので、それだけでも労作と言えるが)になりかけている。論文をまとめた形なので仕方ないのかもしれないが、もう少し話を絞った方がよかったかもしれない。2022/09/02