中公文庫<br> 目まいのする散歩

中公文庫
目まいのする散歩

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  • サイズ 文庫判/ページ数 209p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784122005341
  • NDC分類 914.6

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

こばまり

39
「犬が星見た」と併せて【再読】。妻に口述筆記させ、その妻が作中にも登場し、ロシア紀行に至っては妻の日記を元に振り返る。百合子さんの存在感は格別だ。病で衰えた体をヨチヨチさせて思い出話なぞ始めるから油断していると、時空よじれ、思考駆け巡り、ぬぅと鎌首をもたげるような怖さがある。巨人の巨人たる所以を垣間見る思い。2016/02/11

haruaki

25
泰淳は気ままにフラフラ散歩しているようで、他人をよく見てるし、推測するし、追想する。散歩しているなかで垣間見える人が作った歴史の跡と記憶。忘れかけても消えないもの。現実とともに過去に想いを馳せて歩き、思考した言葉達には淡々としてユーモラスがありながらも胸に染みるものがあった。泰淳から見た百合子夫人の奔放で無邪気な様子が、思ってた以上で新鮮。思わず笑う。2020/04/01

kawa

24
シュール!!! 冒頭の「目まいのする散歩」を読んで、ちょっと合わないと、失礼ながら、眠れない真夜中の睡眠薬代わりの本としていたが、読み進めるうち、おもしろくなり数晩寝不足の「目まいのする」読書となってしまった。くせになるシュールさ。(有楽町・無印良品で購入)2017/05/10

メタボン

24
☆☆☆★ とりとめもなく移ろう散歩中の風景と回想が何とも心地よい感覚を呼び起こす幻惑的な文章が魅力。「三島氏の顔写真のあるビラが、三島以外の人の意志によって貼られ、風に吹きちぎられそうになっていることは、私をおびやかした。」「夜おそく焼却炉の釜のふたを開けるのが、おっかない。何だか、人間の死がいがつまっているようで」「地球上には、安全を保証された散歩など、どこにもない。ただ、安全そうな場所へ、安全らしき場所からふらふらと足を運ぶにすぎない。」百合子夫人の明るさも良い。2014/08/23

Pー

21
百合子さんの「富士日記」や「犬が星見た」等を読んでこんな素敵な女性を奥さんに仕留めたご主人武田泰淳さんってどんなお方かな・・・なんて低次元の動機から手にしたこの本。いや~なかなかのお方でした。日記といえどこれは8つの短編集。著者晩年の作品で百合子さんが口実筆記されたそうです。それにも関わらず百合子さんのこと随分と正直に面白く記されていて彼女のイメージ、少々落ちたかな(笑)。最終の2作品はソビエトへの散歩で、もうこれは日記じゃなく人間の存在を問いかける人生論ノート。アルマ・アタ行ってみたいな~2016/09/16

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