中公新書<br> 戦艦武蔵―忘れられた巨艦の航跡

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中公新書
戦艦武蔵―忘れられた巨艦の航跡

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  • サイズ 新書判/ページ数 301p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121023872
  • NDC分類 556.91
  • Cコード C1221

内容説明

二〇一五年、戦艦武蔵がフィリピン沖海底で発見され、世界の注目を集めた。だが、太平洋戦争中の一九四二年に完成し、四四年のレイテ沖海戦で撃沈された武蔵は、敗戦後、長きにわたり半ば忘れられた存在だった。姉妹艦の大和が一貫して脚光を浴び、戦記や映画、アニメなどで繰り返し描かれたのとは対照的である。両者の差はどこから生まれたのか。建造から沈没までの軌跡を追い、さらには戦後日本の戦争観の変遷をたどる。

目次

序章 武蔵とは何か
第1章 戦艦武蔵の建造
第2章 武蔵沈没
第3章 戦後の武蔵物語とその特徴
第4章 語り出す武蔵乗組員たち
終章 二〇一五年の武蔵

著者等紹介

一ノ瀬俊也[イチノセトシヤ]
1971年(昭和46年)、福岡県に生まれる。九州大学文学部史学科卒業。同大学大学院比較社会文化研究科博士後期課程中途退学。博士(比較社会文化、九州大学)。専門は日本近現代史。国立歴史民俗博物館助教などを経て、埼玉大学教養学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

James Hayashi

37
吉村昭氏の「戦艦武蔵」は武蔵建造に重点を置かれ書かれているが、本作は建造、沈没また乗組員などにより書かれたいくつかの書物を読み解き、戦艦武蔵の存在の意味を問う。姉妹艦の大和の人気に比べ陰の部分に置かれた武蔵を捉え戦争の一面を見る。当時、戦艦を温存していたと言う意見もあったらしいが、使い道がなかったという事が真実で言い得て妙。 2016/10/01

かごむし

32
造形や機能としての戦艦武蔵を語る本だと思って、ほとんど期待せず手にとったが、一番読みたい分野の本だった。海軍の秘密兵器であった戦艦武蔵を通して太平洋戦争をとらえ、戦後、戦艦武蔵はどのような文脈において、戦争を物語ってきたのかという、歴史の事実と物語の生成、そして現在の脱物語化までを丹念な資料の検証を通して語る名著であると感じた。著者は戦後も戦後、昭和46年生まれなのだが、この執念とエネルギーはどこから湧いてくるのだろうか。膨大な情報を整理し体系化することは学者の真骨頂だし、それを読むのは幸せなことである。2016/09/04

Toska

22
近所の図書館で「戦艦大和」「戦艦武蔵」を含む書名をそれぞれ検索すると、実に4倍以上の差が開いた。ことほど左様に武蔵の知名度は大和に遠く及ばないが、そこに突っ込むのがいかにも一ノ瀬さんらしい目のつけどころ。大和の物語は「破れて後目覚める」など悲劇の中にも明るい未来志向の要素があり得たのに対し、武蔵の場合は下士官兵を中心とする恨みつらみが色濃く表れ、一般受けしにくかったというのが著者の見立て。2023/08/24

モリータ

19
◆2016年刊、著者は埼玉大教授、専門は日本近現代史。◆艦の来歴や性能の概説ではなく、「武蔵」がどう語られてきたのかを戦後の作品(乗組員や吉村昭、手塚正己の著作)を中心に大和の物語と対比させつつ追う。歴史を語るとはどういうことか、事実・真実の構築性を考える言説批判の書。◆陸海軍の組織維持、大艦巨砲主義vs航空戦力派の応酬、ルソン残留も絡んだ士官への反感など、組織内部での摩擦。恨みつらみの行き先としての上官あるいは天皇批判、兵の貧しさ・苦しさ、そうした側面を落として「事実か否か」にシフトした武蔵の物語。2019/06/26

kawa

19
戦艦武蔵の建造、沈没、戦後の著作、乗務員の回顧談を通して武蔵の軌跡を追う。著者は「戦争体験の承継は大切だ」とする大勢の意見に対して、それを問えるのは、(体験した)「自らと同時代のそれに限(る)」と結論付け、現代において、あの戦争は、ポエムやファンタジーとして語られているに過ぎないと指摘する。まあそれはそれで一つの見識ではあると思うのだが、それを実証するためのこの本なのだろうか?その先には何があるのか?スッキリしない思い。海軍への大鑑巨砲主義批判は戦後の後付け理論等、随所に興味深い記述はあるのだが…。2016/09/11

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