内容説明
当時最強を誇ったドイツ軍の暗号機はいかにして破られたのか。「戦争の世紀」が「情報の世紀」へと移り変わるなかで、数学者たちの攻防は続く。RSA暗号、PGP暗号、量子コンピュータ、量子暗号…。ネットや銀行を始め、知らずに我々の周囲に溢れる暗号技術の現在と未来、歴史の背後に秘められた人間ドラマを解き明かす傑作ノンフィクション。巻末に「史上最強の暗号」とその解答を収録。
目次
第5章 言葉の壁(失われた言語と古代文字の解読;線文字Bの謎;“つなぎ”音節;馬鹿げた脱線)
第6章 アリスとボブは鍵を公開する(神は愚か者に報いたまう;公開鍵暗号の誕生;最有力候補―素数;公開鍵暗号―もう一つの歴史)
第7章 プリティー・グッド・プライバシー(大衆のための暗号―か?;ジマーマンの名誉回復)
第8章 未来への量子ジャンプ(暗号解読の未来;量子暗号)
付録 暗号に挑戦―一万ポンドへの十段階
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobby
127
後半の量子学の話になってからは全くついていけなかった…ナヴァホ族というアメリカ原住民の言葉が最強の暗号になった逸話は、当たり前だとはいえ中々面白い。今、我々が日常WEB上でやり取りしているメールやクレジット決済に至るまでの経緯にも様々なドラマがある。個人鍵・公開鍵の行ったり来たり(笑)その発想には敬意を表する。何より素因数分解!これほど重要な役割だったとは!?数学者が惹かれる“素数”という概念に思わず納得。2015/01/28
修一朗
116
古代の言葉の解読から始まる下巻も面白かった!特に線文字Bの解読に感動しました。現在主流のRSA暗号については,素因数分解を使う技法ということしか知らなかったのでよくわかりました。完全に理解するにはモジュール関数をわからないとだめですね。2019年の現在,量子コンピュータによって難攻不落と言われたRSA暗号も解読技術に目途が立ったし,すでに次世代の格子暗号が実用化されようとしています。未来永劫安全な暗号などないのだとばかりに。すっかりサイモンシン本に嵌りました。次,宇宙創成へ。 2019/05/02
けいご
103
下巻はヒエログリフ〜今現在、そして未来に予測される事が非常に興味深く描かれていてめっちゃ面白かった★量子コンピュータが実用化されたらRSAは簡単に暗号解読されてしまうって...実用化はされていなくても既に開発されてるじゃん...って事は既に開発国は各国の情報がダダ漏れなんじゃ....なんて思っちゃいましたw今この時、この瞬間も暗号制作者と暗号解読者の攻防戦が舞台裏で繰り広げられているのかな〜なんて思うと世界は彼らが作り上げた暗号世界の上に成り立っていると言っても過言ではないのかもしれないねw?2021/10/24
HoneyBear
101
ベッドサイドやバスの中で読んだので、暗号の仕組みを理解できたわけではないが(折角わかりやすく説明されているのに)、知的興奮を掻き立てられて上下巻があっという間に終わった。仕掛ける頭脳と解読する頭脳の勝負(時に戦争を通じて)が築きあげてきた深遠な技術の一端を垣間見れるのが嬉しい。
ケイ
97
暗号ではないが、解読と言えば、古代文字の解読だ。それが解けていく過程はどれほど心踊るものだったことだろう。国家間の対立に用いられる暗号は、解読してもそれを公表することは国家機密なので出来ない。しかし、古代文字なら、その成果をものに出来るのが多きな違いだ。これからの暗号の話は知識としてはいいが、やはり付録にあるような書かれたことを自らが解いてみるのが楽しく、そこにもっとベージを割いて欲しかった。ここで紹介されていた『la disparition』ずっと本棚で眠っている。いい加減に読もうと思う。2015/01/03