母―オモニ

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 296p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784087814446
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

激動の時代を生きた母の生涯を綴る。
著者初の自伝的長編小説。
「わたしは幸せだろかいね。うん、幸せたい。そうたい、幸せたい」
穏やかな老後を迎え、そう一人ごちていた母。しかし十六の春、婚約者を頼って植民地だった朝鮮半島から単身日本に渡った母の人生には、底知れぬ苦難が秘められていた。
時に感情を爆発させ、時に少女のようなあどけなさを見せた母。その逝去をきっかけに、著者は母の人生と、自らの家族の歴史を振り返る。それは戦中・戦後、日本全体がまだ貧しかったころ、そして人々の間の距離が短く、家族の絆が熱かった時代の記憶だった。
「在日」として生きてきた親子二代の軌跡を辿り、母とは、そして家族とは何かをストレートに問う、感動の一冊。

内容説明

お前とふたりだけの話ばしたかったとたい―。ある日、わたしに届いた母の声のテープが、日本全体が貧しく、家族同士の体温が熱かったあの時代の記憶を呼び覚ます―。『悩む力』から二年ぶり、著者初の自伝的小説。

著者等紹介

姜尚中[カンサンジュン]
1950年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。東京大学大学院情報学環教授。専攻は政治学・政治思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

takaC

43
最後の、オモニの遺した声の手紙二通がずっしりと染みる。2012/04/29

あっ!chan

33
少年時代を過ごした広島では、豚小屋があってチョウセン部落があって、大人たちの差別的発言があったことも思い出した。部落問題や被爆者のこととあわせて、学校の道徳の時間で取り上げられていたから、きっと今では信じられないほどのわだかまりや、差別意識があったのだろう。時代の中で翻弄された在日の人たちの苦労や悔しさをを、そして誰もが経験する親子の葛藤を、そして精一杯生きたオムニの生きざまが、母親を心から愛する気持ちが淡々と語る言葉と共に胸を打つ。2015/05/27

Mark

28
悲しくて辛いお話でしたけど、それでも前向きになれる、力強さが伝わってくるものがありました。朝鮮と日本、歴史を正しく評価しようなんて無理かもしれない、それでも過去を乗り越えて未来を作っていかないといけないんだなと思えます。出自を気にして生きていかなければならなかった苦労、差別、いじめ等様々な困難があったと思います。それでも幸せだったねと言える時が来ればいいのかなと信じています。2014/01/13

りえぞう

28
姜尚中さんは、ヒステリックな討論番組の中においても、冷静で客観的で、決して相手を貶めることなく、心に響く話し方をされる方だと思っていました。字を書けなかったお母さんの自伝を代筆したかのようなこの本も、在日の人々の飾らないありのままの姿が、どちらかの国を美化するでも蔑むでもなく、淡々と描かれています。取り巻く人の温かみ、国によって、戦争によって引き裂かれた人たちの数奇な運命。フィクションのようだけれども、現実だというのが衝撃でした。尚中さんのオモニへのあふれる愛情を感じます。2010/11/13

雨巫女。@新潮部

26
私は、熊本市に住んでいて、近くに「永野商店」があります。どうやら姜さんは、私の中学の先輩のようです。身近な場所、聞き慣れた地名に、感動しました。もしかして、オモニともすれ違ってたかも。2010/11/20

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/597743
  • ご注意事項