内容説明
1990年、秋。僕はその夏ヴェネツィアで再会した佐伯元子からの連絡を待っていた。元子の心には、愛する男を惨殺した者への復讐の炎が燃えていた。復讐計画を実行に移すべく帰国した元子とともに、僕は九州の小都市へと出発する。新たな冒険譚がはじまった…。そして世紀末。宇宙的な円運動の中で、ひとつの愛が終息する。しかし引き合う魂の彷徨は終わらない。2005年、僕は―。長大なスケールの完結篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
みも
50
ロマン主義に立脚した長大な抒情詩。著者が巻末に述懐する「今はもう会うことのない異性へ送った長大なラブレターのつもりだ」『ニュートンの林檎』とは、すなわち引力。彼は、元子という強烈な光熱で圧する太陽を周回し続けた孤独な惑星であった。確かに基軸は男女の恋愛劇であるが、それで要約出来るかと言えば、さにあらず。あたかも『嵐が丘』を彷彿とさせる復讐劇であり、血塗られた親子の愛憎劇であり、官能的で耽美的である。回想形式の独白体を取り、四部構成で年代ごとにまとめ、時系列に沿っているので人間関係の錯綜にも混乱はしない。2018/09/29
桜もち 太郎
19
「どうしても忘れられない異性がいる。現在がどんな境遇にいようと、決して切り捨てられずに、密かに心の中に抱えつづけているひとがいる」(巻末:後ろ姿)より。10代から40代まで語り手の僕は、エネルギッシュで我が道を行く元子の人生に振り回されていた。そして二人はどのような状況に陥ろうとも、引力のように引き合っていた。3度人妻になった元子なのに、互いの心が引き合う。元子のせいで生死をさまよっていても、なお引き合う。そんな女性が元子だった。僕の長い元子へラブレターだ。死人同然の僕が最後は活力を取り戻し安堵した。良書2025/09/23
chie
18
壮絶な人生を歩む一人の女性と、その女性に生涯関わり、独り、自分の生を受け入れる主人公。佐伯元子、かっこ良かった。やっぱり、人間タフでないと、自分の人生でさえ、まるごと生きることなんかできないのではないかと思った。そして、肉体的、精神的にタフな人にこそ、人を引き付ける力があるのだろうな~、と思った。2022/02/24
よしみん
16
人生において忘れられない人。それにより翻弄され、変わっていく道筋。人生が複雑であるように、この本の中には色々な側面がある。そこから何を学び、どう生きるかはそれぞれなんだろう。年齢を重ね、研ぎ澄まされ、そこから見えるもの。佐伯老人の哲学的なその生き様が魅力的だ。私も佐伯老人にとっての3000枚を超える大作や、僕にとっての映画や、元子にとって愛してくれた人のように、生きていた証を残せる人でありたい。2012/08/07
ただの晴れ女
7
いろいろな読み方があるけれど、元子が地球の引力で、主人公がそれに引き寄せられる林檎なんだろう。この哲学的なところが、後のオキーフや右岸に繋がるのか。2010/07/24




