集英社新書<br> 刑務所改革―社会的コストの視点から

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集英社新書
刑務所改革―社会的コストの視点から

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  • サイズ 新書判/ページ数 237p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087207781
  • NDC分類 326.52
  • Cコード C0236

出版社内容情報

死傷事件があった名古屋刑務所で初代視察委員を務めた著者。米国、カナダなど先進的な刑務所や、実は古くからある四国の「塀のない」刑務所などの現場をたずね、あるべき刑務所の姿を考える。

内容説明

明治以来、百年あまりの間、罪を犯した者を「隔離」し、「収容」することだけが目的だった日本の刑務所。日本の社会は「刑とは何か」「刑務所の果たすべき役割とは何か」について思考停止状態であり続け、塀の中は闇のまま放置されてきた。その結果が平成一三年に名古屋刑務所で起きた受刑者の死傷事件だ。この事件の反省から誕生した刑事施設視察委員会制度。偶然のきっかけから委員に任命され、塀の中の不合理なシステムに驚嘆した著者は、アメリカ、カナダなどをめぐり、社会に資する刑務所の姿を模索する。

目次

第1章 塀の中は闇の中―名古屋刑務所で起きたふたつの事件(受刑者は毎日何をしているのか?;刑務所を見にきてくださいよ ほか)
第2章 刑務所のブラックボックスを開ける―日本の初代刑事施設視察委員として(「国民に理解され」る刑務所の第一歩;限定された視察委員会の役割 ほか)
第3章 シュワルツェネッガーの刑務所改革をたずねて―過剰収容とオンブズマン制度(刑務所オンブズマン・オフィスをたずねて;カリフォルニア州・刑務所オンブズマンの限界 ほか)
第4章 塀のない刑務所の挑戦―開放的処遇はどこまで可能か(塀のない刑務所・大井造船作業場;受刑者ではなく作業員として ほか)
第5章 罰とは何か―収容至上主義からの転換を考える(「犯罪者」に対するイメージと現実とのギャップ;現在のシステムは有効と言えるか ほか)

著者等紹介

沢登文治[サワノボリブンジ]
1961年、名古屋市生まれ。南山大学法学部法律学科教授。新潟大学法学部・同大学院修士課程修了後、東北大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。専門は日本国憲法、アメリカ憲法、フランス人権宣言(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

J D

31
 懲役刑と禁錮刑を廃止して、拘禁刑を新たに導入するという現在の流れの中で本書を読むとまるで予言書のようにも思えた。今から約10年前に書かれた本だから刑務所を取り巻く情報は古いが、視点がとても良い。将来あるべき刑務所の姿が素直に書かれている。罪と向き合い反省し、受刑者の人間性の回復を促す刑務所であれば良いと考えた。これから拘禁刑の導入により刑務所がどう変化するのか、しないのか興味深いところである。2022/06/11

T

4
現在のほとんどの刑務所は収容施設であって、更生施設ではないので非常に社会的コストが無駄になっているということはわかる。日本全体がそうなっているから手に負えない。2015/12/13

てくてく

4
2006年から四年間務めた名古屋刑務所の視察委員としての経験も踏まえた、刑務所の現状と提言。名古屋刑務所事件の発生理由の推察も現状を踏まえたもので納得がいくものだった。また、大井造船作業場という塀のない刑務所が成立しえた背景に、地元の実業家である坪内寿夫氏のシベリア抑留体験があったことを初めて知り、驚いた。刑務所に対する人道的な観点の他に、経済的観点からも、どうあるべきか見解が示されていて、いろいろと学ぶ点があった。<おすすめ>2015/06/04

skunk_c

3
法学者が、今世紀初頭の名古屋刑務所での事件から、刑務所で何が行われているかを、内外の取材により、現在進行している改革も含めて紹介している。特に印象的だったのは開放型施設の大井造船作業所。その上で、死刑を除けば受刑者がいずれ社会に戻ることを前提に、刑罰の目的を、懲罰から更正にシフトすべきと説く。隔離と拘束による収容至上主義の現在の刑務所が、再収容率50%に及ぶことを指摘し、開放型施設と社会復帰へのきめ細かいサポートが必要とする。首肯できる内容。菊田幸一『日本の刑務所』(岩波新書 2002)もお薦め。2015/03/21

れい

2
刑務所の存在意義は何かと深く考えさせられた。 刑務所は終わりでなく、始まりになるべき。今議論されてる少年犯罪の年齢引き下げも、刑務所のあり方から考えないといけない。2020/01/06

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