出版社内容情報
広重の描いた、たおやかな富士を愛でる
浮世絵で富士といえば北斎が有名だが、先駆者北斎を意識したもうひとりの巨匠広重もまた富士を描いている。本書では『富士三十六景』『不二三十六景』『富士見百図』を完全収録。広重のやさしげな富士に酔う。
内容説明
浮世絵で「富士山」といえば北斎をイメージする人が多い。だが、もう一人の巨匠・広重も晩年、富士山を題材に『富士三十六景』『不二三十六景』の二組のシリーズと絵本『富士見百図』を制作している。その作風は北斎の鋭さとは異なる、たおやかで微笑むような優しい富士。本書ではその図版全点を初めて完全収録。さらに広重『名所江戸百景』『東海道五拾三次』に描かれた富士、『富嶽三十六景』をはじめとした北斎の富士などの図版も交え、江戸の習俗を紹介しながら広重の富士の魅力を余すところなく伝える。
目次
はじめに 広重『富士三十六景』の出版
第1章 江戸の富士山
第2章 名所から見た富士
第3章 四季折々の富士
第4章 時代を映す鏡
第5章 水のある風景
第6章 二人の富士
付録
著者等紹介
赤坂治績[アカサカチセキ]
1944年山梨県生まれ。江戸文化研究家、演劇評論家。劇団前進座、「演劇界」編集部を経て独立。歌舞伎、浮世絵をはじめ江戸文化を中心とした著述を行なっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
退院した雨巫女。
9
浮世絵に興味持ったのは、永谷園のお茶漬けについていたカードがきっかけでした。広重の「東海道五拾三次」と北斎の「富嶽三十六景」を集めてました。同じカードがでると落ち込んでました。この本は、新書版ですが、絵もきれいで、かなり充実した内容でした。2011/03/26
イッセイ
2
北斎にかまけて、広重を疎かにしてた。絵の構図は現代でも活かせるところがある。広重に限らず、先人を真似、咀嚼し、乗り越えてゆくのは、いつの時代でも忘れてはいけない姿勢だ(B)2011/05/09
チョイローモンゴル
1
浮世絵写真がかなり多いのでバラバラ見るだけでも結構いい。北斎亡き後の富士登山ブームの時に広重に富士三十六景の依頼が版元から入る構図は今の出版の世界と変わらないような印象。当時の浮世絵の価格設定がうどんや蕎麦よりちょっと高い程度でや肉筆画より版画中心で制作に多くの人が関わる事。流行の影響が大きい事などを考えると現代のマンガの世界のイメージに近い。2013/12/23
みつひめ
1
広重の絵がたくさんカラーで収録されているので、購入。本題からちょっと外れたところで「え?」と思うところがいくつかあった。北斎は職人を画面に登場させ、広重は芸能者を、という指摘は面白いなと思った。2012/06/17
love_child_kyoto
1
図が多く、文章も面白い。2011/01/21