内容説明
戦争へ行った父、父を追って戻らない母、取り残された息子。終戦を迎え、黒い犬が人々を牙にかけていく。生還し古い図書館に篭城して悪逆の限りを尽くす父と対峙するため、息子は丘の上の図書館へ通い続ける。父と息子、母と息子の息詰まる絆を描いた「血脈」「聖書の煙草」を同時収録。
出版社内容情報
徴兵を免れた息子と戦争帰りの父。定職を持たない息子と働き続ける母。逃れようのない歪んだ絆。話題の芥川賞作家の傑作3編を収録。
空から落とされた無数の黒い犬が戦争を終わらせた。悲しみによって空腹を満たすため、私は図書館に篭る父親の元へ通い続ける。歪んだ家族の呪われた絆を描く力作 (『犬と鴉』)。家業を継がず一冊の本に拘泥するのはなぜか、父と息子が抱く譲れない思い(『血脈』)。定職を持たず母と二人で暮らす三十男、古びた聖書が無為な日々を狂わせる(『聖書の煙草』)。
【著者紹介】
1972(昭和47)年山口県生れ。山口県立下関中央工業高校卒業。2005(平成17)年「冷たい水の羊」で新潮新人賞受賞。2008年「蛹」で川端康成文学賞を最年少で受賞、同年に「蛹」を収録した作品集『切れた鎖』で三島由紀夫賞、2012年「共喰い」で芥川賞受賞。他の著書に『神様のいない日本シリーズ』『犬と鴉』『実験』等がある。



