しんがり―山一證券最後の12人

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  • サイズ B6判/ページ数 356p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062186445
  • NDC分類 338.17
  • Cコード C0095

出版社内容情報

1997年の山一証券倒産時、後始末のために最期まで尽力したのは「場末」と呼ばれた部署の社員だった。筋を貫いた彼らの人生を描く負け戦のときに、最後列で敵を迎え撃つ者たちを「しんがり」と言います。戦場に最後まで残って味方の退却を助けるのです。
四大証券の一角を占める山一證券が自主廃業を発表したのは、1997年11月のことでした。店頭には「カネを、株券を返せ」と顧客が殺到し、社員たちは雪崩を打って再就職へと走り始めます。
その中で、会社に踏み留まって経営破綻の原因を追究し、清算業務に就いた一群の社員がいました。彼らの一部は給与も出ないまま、「しんがり」を買って出て、無一文に近い状態になっています。この中心にいたのは、会社幹部に裏切られながら業務の監査をしていた人間たちで、証券会社では「カネを稼がない、場末の連中」と陰口を叩かれていた人々でした。・・・
山一證券の破綻を、記者会見で号泣した社長の姿とともに記憶している方も多いことでしょう。「社員は悪くありませんから!」という絶叫でした。
社長までが泣く、その大混乱にあって、「しんがり」の彼らはなぜ筋を通そうとしたのでしょうか。逆襲なのでしょうか、意地でしょうか、優しさなのでしょうか。
山一が消えたあとも、彼らは不器用な人生を送っています。しかし、決して不幸ではないと言います。「会社の破綻なんて人生の通過点に過ぎないよ」「潰れたって、何とかなるんだ」と。
一生懸命生きていれば、きっと誰かが見ていてくれる。――そんな彼らのメッセージは、どんな会社が潰れても不思議のない、リスク多き時代を生きる人々の励ましとなるのではないでしょうか。

プロローグ 号泣会見の真相
一章 予兆
 1 場末の住人
 2 ガサ入れ
 3 総会屋の影
二章 不穏
 1 取り調べ
 2 アジト
 3 反旗
三章 倒産前夜
 1 刺殺された同僚
 2 相次ぐ逮捕
 3 突然の告白
 4 終わりの始まり
四章 突然死
 1 「その日」の社員たち
 2 意地
 3 大混乱
 4 最後の聖戦
五章 しんがりの結成
 1 アンタッチャブルに挑む
 2 同志、結集す
 3 荒野の七人
 4 チームの役割
六章 社内調査
 1 ブツの押収
 2 「管理人」の告白
 3 証拠の保管先
 4 ヘドロ
七章 残りし者の意地
 1 情報提供
 2 疎んじられても
 3 清算社員のプライド
 4 焦り
八章 破綻の全真相
 1 暴走の契機
 2 不正はすぐ隣に
 3 前社長は語る
九章 魂の報告書
 1 去りゆく者たち
 2 大蔵省は知っていたのか
 3 カメラと抵抗
 4 執念の成果
 5 もう一つの報告書
 6 リーク
十章 その後のしんがり兵
 1 最後の仕事
 2 それぞれの「それから」
 3 「うちにおいでよ」
 4 働く意味
 5 10年後の追跡
エピローグ
あとがき 君はまだ戦っているのか


清武 英利[キヨタケ ヒデトシ]
著・文・その他

内容説明

「俺たちで決着をつけよう」会社の消滅時に、最後まで意地を貫いた社員の物語。16年前、四大証券の一角を占める大手、山一證券が金融危機のさなかに破綻した。幹部たちまで我先にと沈没船から逃げ出すなか、最後まで会社に踏みとどまり、真相究明と顧客への清算業務を続けた社員たちがいた。彼らは社内から「場末」と呼ばれ、煙たがられた部署の連中だった―。

目次

1章 予兆
2章 不穏
3章 倒産前夜
4章 突然死
5章 しんがりの結成
6章 社内調査
7章 残りし者の意地
8章 破綻の全真相
9章 魂の報告書
10章 その後のしんがり兵

著者等紹介

清武英利[キヨタケヒデトシ]
1950年宮崎県生まれ。立命館大学経済学部卒業後、75年に読売新聞社に入社。青森支局を切皮りに、社会部記者として、警視庁、国税庁などを担当。中部本社(現中部支社)社会部長、東京本社編集委員、運動部長を経て、2004年8月より、読売巨人軍球団代表兼編成本部長。2011年11月18日、専務取締役球団代表兼GM・編成本部長・オーナー代行を解任される。現在はジャーナリストとして活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

鉄之助

267
『半沢直樹2』の証券取引等監視委員会のガサ入れのシーンは、この小説がネタ本か? と思わせるほどリアルな作品だった。旧・山一証券の自主廃業の舞台裏を緻密に追ったドキュメント。会社が無くなった後も無給で残り、清算作業と倒産の原因究明に情熱を燃やした”最後の12人”のドラマ。感動したのは、12人全員が「私たちが引いたのは貧乏くじではない」と胸を張っていたこと。コロナ禍の中、会社や仕事がなくなっている人が多い今だから、読んでホント良かった。「会社は自分たちを守ってくれない。自分で何とかさせる」名言だ!と思う。2020/08/10

Kawai Hideki

150
泣いた。巨額の簿外債務によって自主廃業に追い込まれた山一証券で、会社の清算と簿外債務の原因究明のため、最後まで誠実に職務を全うした12人のしんがりを追う。推理小説のように徐々に明らかになる簿外債務のカラクリが興味深い。簿外債務隠しに関係した会社を洗い、その秘密を守る孤独な管理者、それを命じた責任者と最初の原因、それを正そうとして会社を追われた役員の存在を明らかにする。自らも損害賠償訴訟の対象となるリスクを顧みずに事実を明らかにする姿勢と、会社が無くなってもお互いに助け合うしんがり同士の固い結束に感動。2015/03/16

ひろちゃん

120
な、なんとノンフィクション。こんな世界があるとは!愛社精神とかたてまえだけのものかと思ってた。2015/11/19

おいしゃん

90
なんと熱い本だろうか!日本の全サラリーマンにオススメしたい一冊だ。倒産した山一證券で、倒産後も一身に世間の批判や抵抗を受けつつ、不正解明と清算業務にあたった12人の物語。損な役回りを進んで引き受け、世話になった会社の最期まで見届けようとする姿は、同じ会社員として心底グッときた。「事実は小説より奇なり」というが、まさに本書は、事実と小説のいいとこ取りの一冊と言えるだろう。2015/06/12

Yunemo

83
何と表現したらいいのでしょう。本作品の切り口だけで、どうこう言えないことに気付きました。いろいろな見方があることを理解しながらも、それでも気持ちに深く残ります、「しんがり」の意味が。組織が健全であることが市場で生き残る道、至極真っ当なことなのに、何故なんでしょう。自身がどちらかの立場に立たされたなら、易きに流されてしまう、この弱さを意識してしまいます。最後まで意志を貫き通すこのメンバーに敬意以外に言葉が見つかりません。ただ著者の何らかの思惑が透けているように思われるのは、自身の思い違いだとは思うのですが。2013/12/28

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