講談社文芸文庫<br> 流離譚〈上〉

講談社文芸文庫
流離譚〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 518p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061982000
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

父親を主題に名作「海辺の光景」を書いた安岡章太郎が、土佐の安岡一族のルーツを遡つて、幕末の藩士達に辿り着く。その一人安岡嘉助は文久二年、藩の参政吉田東洋を刺殺、脱藩、天誅組に入って京に上るが、志半ばにして刑死する。日記や書簡を手掛かりに、自分の実感を大切にしながら臨場感あふれるスリリングな語り口で、歴史のうねりに光を当てる長篇歴史小説。日本文学大賞受賞。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Ayumi Katayama

22
安岡章太郎が、自らの一族のルーツをたどって書かれた歴史小説である。安岡嘉助は安岡章太郎の祖父の従兄弟にあたる。吉田東洋を暗殺して土佐藩を脱藩した。後に天誅組に与し御親征を掲げたものの朝廷には勅使にあらずと否定され組は壊滅、安岡嘉助も斬罪となる。享年29。この天誅組の末路は悲壮である。安岡章太郎は、嘉助が打首にあったその場所を訪うたようだ。100年ほど前、その場所で打たれた嘉助を見ただろうか。2020/10/11

マッピー

14
土佐の郷士一族の末裔である安岡章太郎の親戚に、東北弁を話す一家がある。安岡家本家の墓がなぜ会津にあるのか。家系図を辿り、5代前の先祖の日記をひもとき、親戚や地元の人に取材をし、古文書を読み検証する。上巻では文助の次男嘉助が吉田東洋暗殺の罪で刑死し、土佐勤皇等に深くかかわった長男覚之助は入牢中。武市半平太が切腹を命じられたところで巻は終わる。謎には一向に近づいていないが、膨大な資料を読み込み、真実を推察し、当時の人びとの立場や心情を慮る、その作家の目の確かさが、難しく分厚い本所をぐいぐい読ませるのである。2019/11/02

けんし

1
安岡の祖先の話を当時の日記などから作者自身が丹念に追った。一下士でありながら、土佐勤王党へ、また吉田東洋暗殺、天誅組に関わっていく。日記に書かれていない部分もなぜ書かれていないのか、取り巻く家族模様も類推、読み応え有り。武市半平太、龍馬、容堂も登場。2017/09/17

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