岩波文庫
岡本綺堂随筆集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 387p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003102633
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

内容説明

『半七捕物帳』の岡本綺堂(1872‐1939)は、明治5年に東京・芝高輪に生まれた。父は元御家人で母は武家奉公をした町娘。時代は明治から大正。江戸の風情の残る東京の町と庶民の日常生活、旅の先々で出会った人々、自作の裏話―穏やかな人柄と豊かな学殖を思わせる、情感あふれる随筆集。著者はいい時代に生まれたらしい。

目次

1 自選随筆集『五色筆』より(磯部の若葉;山霧 ほか)
2 自選随筆集『十番随筆』より(秋の修善寺;春の修善寺 ほか)
3 自選随筆集『猫やなぎ』より(風呂を買うまで;郊外生活の一年 ほか)
4 自選随筆集『思ひ出草』より(我家の園芸;御堀端三題 ほか)
5 単行本未収録の随筆(銀座の朝;父の墓 ほか)

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

niisun

34
『シャーロック・ホームズ』に影響を受けて書き上げた『半七捕物帳』で有名な岡本綺堂の随筆集。永らく探して漸く手に出来ました。江戸の面影を色濃く残す明治~大正の東京の姿がありのまま描かれている貴重な随筆。関東大震災で自宅を焼失して流転した日々を記した『火に追われて』、蔵書家を訪ねては抜き書きした当時の読書の苦労を伝える『読書雑感』、年始の回礼の習慣が、日清日露の2度の戦争を経て年賀葉書に取って代わられた『年賀郵便』など非常に印象深い。あと、私が10年勤めた麹町周辺の変遷が微細に描かれていたのも楽しめましたね♪2020/09/16

澤水月

29
関東大震災、麹町は火の手来ないと思っていたら恐るべき速度で炎に追い詰められる恐怖、被災後の区画整理や什器補充など東日本大震災、豪雨等々など多々あった今読むとまた迫る。海外紀行多いのは意外で驚き。怪談、園芸など興味が多岐にわたり面白い。俳優評は現代なら炎上しそうな辛辣さもありビックリ2018/12/12

竜王五代の人

9
震災被災記、旅行記、思い出話、故人を悼む話など雑多な随筆集。ただ、いずれも目線が暖かいので読んでいて気持ちがよい。あと、世の移り変わり、人の栄枯盛衰、その人知の及ばないところを「運命」と呼んで詠嘆するところ多い。2023/07/31

hirayama46

9
はじめての岡本綺堂。小説を読まずにこちらを読みましたが、たいへん良い本でした。ちょっとした情景の描写に瑞々しさがあり、過去や日常の温和な語り口も魅力的でした。岡本綺堂の幼少期にはまだ文庫本というものがほとんどなく、読みたい本は持ち主の家に通って読んだり、観劇をするために徒歩で移動する際に野良犬がたくさん出るために棒切れを持っていかなくてはいけなかった、など100年ちょっと前という時代の近さと遠さを思います。2020/08/15

うた

9
「今日もまた無数の小猫の毛を吹いたような細かい雨が、磯部の若葉を音もなしに濡らしている」。いい随筆集だ。清流でのどの渇きを潤す心地がする。家に出入りする人々、庭の風景、旅路、震災の記憶、ほんとうに身辺雑記なんだけれど、文章にゆるみがなく、また無理もない。江戸への哀惜をもちながらも、変わっていく東京に身を置き続ける。2013/01/27

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