内容説明
両親の不和、離婚から言葉を失った里緒は、治療に効果的だというイルカとのふれあいを求めて、オーストラリアの島にやってきた。研究所のイルカの世話を手伝って暮らす彼女に島に住む老チェリストJBが贈る「フェルマータ・イン・ブルー」の曲。美しいその旋律が夜明けの海に響いたとき、海のかなたから野生のイルカが現れて―。心に傷を持つ人々が織りなすイノセントでピュアな愛の物語。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
296
その情景描写の静謐な美しさに息を飲む。ふとした一言で両親を不和にさせ言葉を失った少女里緒。治療と癒しを求めオーストラリアの島に。イルカと触れ合い、優しい仲間と触れ合い少しずつ···。海、珊瑚礁、光、月、そうした情景が里緒視点で紡がれる。美しい映像として私に届く。言葉という、人間だけに許された至高の宝、つまり人間である象徴を失いながらも我が身の罪に苦しむ里緒。言葉を語らないイルカとチェロをキーアイテムに『心の傷』と『癒し』を描き、真の優しさや立ち上がる勇気に触れる。この作品の言葉や表現がとても好きだ‼️🙇2020/03/12
さてさて
137
JBから贈られた『フェルマータ・イン・ブルー』と対峙する主人公の里緒。この作品には、『言葉を失っ』たことで、人の『心の動き』を敏感に読み取るようになった里緒が『イルカ』と接していく様が描かれていました。『チェロ』の調べが心地よく物語に響いていくこの作品。『イルカ』が持つ秘めた力を改めて思うこの作品。過去に囚われて生きてきた里緒が、未来に向かって歩みを再びスタートしようとするその思いを『フェルマータ』に巧みに重ね合わせていく物語。村山由佳さんの優しい眼差しをそこかしこに感じさせてくれる素晴らしい作品でした。2026/03/06
優希
88
とても綺麗です。心に傷を負い、言葉を失った少女・里緒は治療のために、イルカとの触れ合いを求めてオーストラリアに。イルカセラピーというように、イルカと心を通わせたり、月夜の珊瑚礁など神秘的な場面が沢山ありました。老チェリスト・JBが奏でる『フェルマータ・イン・ブルー』が全体に流れているようで、美しい旋律が美しい島によく合います。あたたかい人たちに囲まれて、少しずつ里緒の心が開かれていく様子が丁寧に描かれているのが静かに心を打ちました。最後に声を出せたのに感動。純粋さとみずみずしさを感じます。2016/04/22
あつひめ
68
心の傷は目に見えなくて、なかなかいい治療法も見つからない。どんなに優しい言葉をかけてもきつく言ってもなかなか効果が出ない。親に褒めてもらった経験がない…私も同じ。親の夢を自分の夢と勘違いして歩いていた頃はダメ出しの嵐だった。リオが見る海の景色は、私が見る北の大地と同じだとつい重ねてしまった。人を愛することが怖くなる。愛されることが不安になる。でも、自分で誰かを守りたくなる時、昔の自分から抜け出すことができるのかもしれない。私のそばにイルカはいないけど、つぶらな瞳の黒猫がいてくれる。2018/03/26
だまだまこ
57
再読。フェルマータ・イン・ブルー。チェロで奏でられるその曲は、フェルマータの取り方で曲調を変えるという魅力的な曲。聴いたことのないその曲が、海を背景にずっと響いていた。声を無くした里緒がオーストラリアでイルカ達と過ごし、言葉では言い尽くせない感情の海に呑まれていく。ずっと年上のJBへの憧れに近い恋心や、大嫌いと思っていた男に身体が惹かれていく衝動。海の中の極彩色の世界で、野生のイルカと一緒に泳ぐ躍動感。綺麗事ばかりではないけれど、瑞々しく鮮やかなことにゆらぎはない。束の間、旅をしてきたかのような気分。2019/07/09
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