内容説明
実話怪談に読者が期待するものの第一はもちろん「怖さ」である。それも怖ければ怖いほどいい。かつてないスリル、独りきりの部屋で思わず後ろを振り返ってしまうような生々しい恐怖感をたえず求めている。しかしながらその一方で、最後には「救い」が用意されていることも望んではいまいか。もっと言ってしまえば、用意されていると、無意識に思い込んでいる…。そう、ジェットコースターと同じように、無事にホーム(日常)に帰れるからこそ望むスリルなのだ。体験者の周囲でどんなに恐ろしく悲惨な怪異が繰り広げられたとしても、最後には一件落着、めでたしめでたしで終わるのだろうと思って読みはじめる。だが、現実がそんな都合良く進むだろうか。無論、答えは否である。本書の話はすべて実話であり、残念ながらそういったカタルシスは期待できない。土地や血の因縁、陰鬱で凄惨な経緯の連続に耐えうるつわものだけに、ページを繰ってほしい。
目次
家
弔
憑
猫
視
罰
下
著者等紹介
加藤一[カトウハジメ]
1967年静岡県生まれ。パソコン雑誌から少女雑誌、官庁のお役所仕事から怪談まで、守備範囲ははなはだ無節操。自称、日本でいちばん逃げ足の速い怪談コレクター。人気実話怪談シリーズ『「超」怖い話』冬版の編著者で、実話怪談コンテスト「超‐1」を企画主宰、同コンテストの傑作選「径コレクション」シリーズの編者ともなっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
129
本シリーズには本当に書くのを躊躇してしまう程のマジでえげつなく恐ろしい話が存在しますね。『弔(とむらい)』設計士の仕事をしている語り手が老人ホームの設計を依頼され現地を見ながら打ち合わせする事となり、数百メートルの場所にある斎場を見ながら、彼は老人と出会って話をする。設計が進み彼の立ち合いの下でユンボの掘削作業が始まるが不意にユンボが傾き事故が起きる。次に近くで骨壺が見つかり離れた場所に埋め直す。その後事故が多発し会議の末お祓いが為されるが無事故にはならず謎の老人の霊が出没し彼も傷を負うが遂に完成に至る。2020/05/06
Syox
20
世の中には色んな種類の怖い話があるだと感じました。2024/11/05
みーすけ
4
(まだまだ夏の怖い話フェア中)オチ2作がエロ怖でした。2013/08/27
NNNNN
2
よくわからんかったな。著者さん言ってるけどやっぱ怖い話を読むときはスリルとかカタルシスを求めてしまうわけで。それはないよとはじめから言われていてもやっぱり求めてしまうわけです。 実話怪談は向かないな、と思った。2022/08/21
七澤
2
憑が好み!なんで味方にしないのかってすごい不思議だ…そういう感覚もあるのか。2019/04/21