内容説明
怪に出合い、奇を拾う運。それを聞き、書き記す才。ふたつの天賦に恵まれた者が幸か不幸かはわからない。だが、その者はそれを歴史に伝え残す使命を負っている。「運め」といってもいいかもしれない。「超‐1」2006年度大会で松村進吉とダブル優勝を果たした久田樹生、彼はまさしくこの運めのもとに生まれた者である。今回、彼が取材してきた話はそのおぞましさ、奇妙さにおいて他に類を見ない。明確な因果関係、いわゆるオチが用意されていることを期待してはいけない。闇雲に襲ってくる怪異、泥沼のような恐怖、ハッピーエンドとは限らない、なぜならそれはすべて―「実話」だからである。
目次
阿佐田強―かやせの家
永田正人―Rock’n’Roll心中
佐伯興三―山に生きる
手島朱美―夜を渡る
上浜ミエ―境界
真下真治―金縛れ
矢立勝弘―Uターン
渡辺早紀子―果報
著者等紹介
久田樹生[ヒサダタツキ]
1972年九州生まれ。超‐1/2006年大会一位入賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
133
「怪歴」を一字だけ変えると「怪力」と普通の表現になって、それがどうしたと言われそうですが本書にはそんなとぼけた味の話が多いですね。まあ大らかで平和なのもいいですよね。『フェード・イン』霊柩車に続くマイクロバスを白い帷子を着た婆さんが必死に追い掛けそのままバスにめり込んで行った。『整列』神社の社の軒先に座る八人の男の子は同じ顔同じ服同じ動作で右から左へかけて段々と小さくなり最後は湯飲みくらいの大きさだった。『小銭』ブリキ缶の貯金箱がもうこれ以上入れられなくなり缶切りで蓋を切り開けると中に墨が2本入っていた!2020/05/10
いきもの
4
連作のやつがなかなかよかった。金縛り体験を求めて墓巡りする奴とか。2015/12/22
☆kubo
4
実話?仏像の話とか創作っぽいけど、前書きに赤い靄が張り付いてるとか言ってるし…真下くんはその後金縛りに無事あえたのでしょうか(笑)2012/09/13
pgin
3
既に由来の分からない家系にまつわる凶事「かやせの家」■二つの人生を行き来する不思議で物悲しい異界譚「境界」■謎の菩薩像にまつわる死の連鎖と家族の顛末「果報」2017/11/16
七澤
3
上浜ミエ-境界、真下真治-金縛れ、あたりが面白かった!お話の進め方があまり今までに読んでなかったタイプでよかった。実話怪談ばっかり読んでるけど定期的に金縛りにあいたい人でてきて面白い。好きだよそういうの。 あと最後の話がまえがきに繋がるような感じでぞぞっとした。よき・・・。2019/03/26