なぜ"今"アーレントが重要なのか ― 激動の時代に考え続けた哲学者を読む。⑥全体主義の起原 全3巻

hanna_arent.jpg入門編 ホロコースト 全体主義 政治・革命 人としてのアーレント
全体主義の起原 全3巻 エルサレムのアイヒマン

ハンナ・アーレント『全体主義の起原』全3巻[新版]  

9784622086253.jpg全体主義の起原 1【新版】
反ユダヤ主義
THE ORIGINS OF TOTALITARIANISM
Antisemitism

著者ハンナ・アーレント
訳者大久保和郎

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/360頁
ISBN 978-4-622-08625-3 C1031
2017年8月23日発行予定

定価 (本体4,500円+税)

9784622086260.jpg全体主義の起原 2【新版】
帝国主義
THE ORIGINS OF TOTALITARIANISM
Imperialism

著者ハンナ・アーレント
訳者大島通義
訳者大島かおり

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm 424頁
ISBN 978-4-622-08626-0 C1031
2017年8月23日発行予定
定価 (本体4,800円+税)

9784622086277.jpg全体主義の起原 3【新版】
全体主義
THE ORIGINS OF TOTALITARIANISM
Totalitarianism

著者ハンナ・アーレント
訳者大久保和郎
訳者大島かおり
解説矢野久美子
四六判 タテ188mm×ヨコ128mm 512頁
ISBN 978-4-622-08627-7 C1031
2017年8月23日発行予定
定価 (本体4,800円+税)

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新版刊行にあたって(2017年7月)
「悪」をみつめた20世紀の古典。小社のロングセラー、ハンナ・アーレント『全体主義の起原』(全3巻)・『エルサレムのアイヒマン』を、新版としてこの8月に刊行いたします。

•全文に最新の研究成果を反映
•正確で読みやすく、用語・用字も一新
•『全体主義の起原』原書初版(1951年)に付された「まえがき」初収録(矢野久美子訳)
•矢野久美子による新解説(『全体主義の起原』)
•山田正行による新解説(『エルサレムのアイヒマン』)

今年1月にはトランプ政権下のアメリカで『全体主義の起原』がベストセラー入り、9月にはNHK-Eテレ(教育)の番組「100分de名著」(講師・仲正昌樹)で一カ月間とりあげられるなど、いっそう評価の高まる不朽の書を、次世代にもっと読み継ぎたいとの願いをこめて。

各巻内容
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全体主義の起原 1【新版】
反ユダヤ主義

〈反ユダヤ主義(たんなるユダヤ人憎悪ではなく)、帝国主義(たんなる征服ではなく)、全体主義(たんなる独裁ではなく)が――次から次へと、より残酷なかたちで――示したのは、人間の尊厳が、新しい政治原理、新しい地上の法においてのみ見出されうる新しい保証を必要とするということである。その有効性は今度こそは人類全体を包括する一方で、その力は厳密に限定され、新しく定義された領域的なものに根をおろし、それによって制御されなければならない〉

20世紀の中心に生じた「伝統の崩壊」、すなわち強制収容所・絶滅収容所という「地獄」という現実の出来事を、どうすれば理解することができるのか。厖大な文献を読み込み、じっくり考え、理解しようとする営為から、本書は生まれた。
国家や法という伝統、さらには人間の本質まで破壊した全体主義への道筋とシステムを描いた20世紀の記念碑的大著の新版を、最新の研究成果を反映し、より正確かつ読みやすくして、ここにおくる。
(理解とは、現実に予断をくだすことなく注意深く向き合い、それに負けないことなのだ)

目次
・新版にあたって――凡例

・初版まえがき
・序文(ドイツ語版より)  カール・ヤスパース
・まえがき(ドイツ語版より)
・まえがき(1968年の英語分冊版より)

・第一章 反ユダヤ主義と常識

・第二章 ユダヤ人と国民国家
1 解放の曖昧さとユダヤ人の御用銀行家
2 プロイセンの反ユダヤ主義からドイツにおける最初の反ユダヤ主義政党まで
3 左翼の反ユダヤ主義
4 黄金の安定期

・第三章 ユダヤ人と社会
1 例外ユダヤ人
2 ベンジャミン・ディズレイリの政治的生涯
3 フォブール・サン=ジェルマン

・第四章 ドレフュス事件
1 ユダヤ人と第三共和国
2 軍・聖職者 対 共和国
3 民衆とモッブ
4 大いなる和解

・原註
・参考文献
・事項索引
・人名索引
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全体主義の起原 2【新版】
帝国主義

〈警察を最高の国家権力にまでのし上がらせた全体主義政権は、個人の犯した罪とは無関係に最初からグループとして法の埒外に立たされた大集団に対する支配を基礎として警察権力を強化することに、当然ながら明白に利益を見出していた。ナチ・ドイツではニュルンベルク法が帝国市民(完全な市民)と国籍所有者(政治的権利のない第二級の市民)との区別を設けたが、これによってついにはすべての「異種血統の」国籍所有者が命令により国籍を剥奪される道が均(なら)されたのである。...他方、非全体主義諸国における無国籍者グループの増大は、警察によって組織される無法状態の一つの形式を発展させた。この無法性は世にも平和な方法で自由諸国を全体主義国に似たものに変えてしまった...こうして人々は特に次の点を看過してしまった。すなわちユダヤ人問題のヒトラー流の解決――まずドイツ・ユダヤ人をドイツにおける非公認の少数民族の地位に追い込み、次には無国籍者にして国境から追放し、最後にはふたたびひとり残さず寄せ集めて絶滅収容所に送り込んだ――は少数民族問題と無国籍者問題のすべてを現実に「処理」し得る方法を全世界に向かってこの上なく明確に示したということである〉

国民国家の崩壊、民族主義の台頭、資本家とモッブの同盟、難民の出現... 第一次大戦に連なり、全体主義の素地をつくった帝国主義とは?

目次
・新版にあたって――凡例

・まえがき(1968年の英語分冊版より)

・第五章 ブルジョワジーの政治的解放
1 膨脹と国民国家
2 ブルジョワジーの政治的世界観
3 資本とモッブの同盟

・第六章 帝国主義時代以前における人種思想の発展
1 貴族の「人種」 対 市民の「ネイション」
2 国民解放の代替物としての種族的(フェルキッシュ)一体感
3 ゴビノー
4 「イギリス人の権利」と人権との抗争

・第七章 人種と官僚制
1 暗黒大陸の幻影世界
2 黄金と血
3 帝国主義的伝説と帝国主義的性格

・第八章 大陸帝国主義と汎民族運動
1 種族的(フェルキッシュ)ナショナリズム
2 官僚制――専制の遺産
3 政党と運動

・第九章 国民国家の没落と人権の終焉
1 少数民族と無国籍の人々
2 人権のアポリア

・原註
・参考文献
・事項索引
・人名索引
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全体主義の起原 3【新版】
全体主義

〈現在までのところ、すべては可能であるという全体主義の信念は、すべてのものは破壊され得るということだけしか証明してこなかったように見える。けれども、すべてが可能であることを証明しようとするその努力の中で全体主義体制は、人間が罰することも赦すこともできない犯罪が存在するという事実をそれとは知らずにあばき出した。不可能なことが可能にされたとき、それは罰することも赦すこともできない根源的な悪となった。この悪は、利己主義や貪欲や利欲や怨恨(ルサンチマン)や権力欲や怯惰(きょうだ)のような悪い動機をもってしてはもはや理解することも説明することもできまい。それゆえまた怒りをもってこれに報復することも、愛によってこれを忍ぶことも、友情によってこれを赦すことも、法律をもってこれを処罰することもできまい。屍体製造工場に、あるいは忘却の穴に投げこまれた犠牲者たちが、刑吏たちの目にはもはや〈人間的〉と見えなかったのとまったく同様に、この最も新しい種類の犯罪者はわれわれ一人一人が人間の罪業の意識で連帯することを覚悟しなければならぬ枠をすら超えている〉

人類史上それまでにはなかった全体主義という枠組から、ナチス・ドイツとソヴィエト・ロシアの同質性と実態を分析する。

目次
・新版にあたって――凡例

・まえがき(1968年の英語分冊版より)

・第十章 階級社会の崩壊
1 大衆
2 モッブとエリートの一時的同盟

・第十一章 全体主義運動
1 全体主義のプロパガンダ
2 全体主義組織

・第十二章 全体的支配
1 国家機構
2 秘密警察の役割
3 強制収容所

・第十三章 イデオロギーとテロル――新しい国家形式

エ・ピローグ(英語版第13章 イデオロギーとテロル――新しい統治形式)

・原註

・訳者あとがき  大島通義
・新版への解説  矢野久美子

・参考文献
・事項索引
・人名索引

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