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新宿本店3階じんぶんや選書フェア 安川晴基選「記憶史」のまなざしで「西洋」を問い直す

紀伊國屋書店新宿本店3階のブックフェア「じんぶんや」、今回の選者は安川晴基さん。
「記憶史」のまなざしで「西洋」を問い直す
という表題のもと、じんぶんやにエッセイをいただきました。

安川晴基さんエッセイ
「記憶史」のまなざしで「西洋」を問い直す

@Yashukawa-photo.jpg 「ユダヤ人」を今あるものたらしめているのは何か。フロイトは『モーセと一神教』で、この問いに答えるために、ユダヤ民族の成立を集合的な心理史として再構成した。それによれば、ユダヤ教の創始者モーセは実はエジプト人だった。彼が告げ知らせたのは、古代エジプトの王アクエンアテンの唱えた太陽神だった。しかし、このモーセはユダヤ人たちに殺され、この凶行の思い出はトラウマとなって民族の集合的記憶に潜伏する。だが、殺害されたモーセとその神は、抑圧をくぐり抜けて回帰し、ついには民族を呪縛した。なぜフロイトは最晩年にこの途方もない「歴史小説」を書いたのか。1990年代以降、「ユダヤ性」の由来をめぐるフロイトの問い自体を問い直す試みが、イェルシャルミ、デリダ、サイードと続く。ヤン・アスマンの『エジプト人モーセ』(1998年)もこの流れに位置づけられる。世界的に著名なドイツのエジプト学者が、イェルシャルミに触発され、サイードを先取りする形で、フロイトの問いに応答したものである。
 もっともアスマンは、モーセは実際にエジプト人だったのか、と問う代わりに、彼が――「事実史」と区別して――「記憶史」と呼ぶ方法を選ぶ。事実史は過去それ自体の再構成をめざす。それに対して記憶史は、いかなる過去のイメージが、誰によって、なぜ想起されているかを問う。ときに対立する過去の諸々のイメージがどんな意図を追求しているかを問う。その都度の現在の力のせめぎ合いの中で、過去のイメージが出現し、途切れ、あるいは新たな意味を帯びて再び現れる。その布置を発掘していく手つきはフーコー的な系譜学を思わせる。また、集合的記憶に潜伏し、情動を解き放ちながら思いがけない時代と場所に回帰する「想起の形象」の遍歴路を探るまなざしは、ヴァールブルクの図像学を思わせる。出来事ではなく出来事の記憶の生成と変容、過去が集合的に編成されるプロセス、過去の構築とアイデンティティ構想の連関、過去の様々な利用に対する関心は、1980年代以降、人文学の大きな流れになった。ピエール・ノラの『記憶の場』がその画期だろう。1990年代に「文化的記憶」のコンセプトを提唱したヤン・アスマンとアライダ・アスマンも、この「記憶論的転回」を牽引してきた。そのヤン・アスマンは『エジプト人モーセ』で、自らの専門であるエジプト学に記憶史のまなざしを向け、ヨーロッパにおけるエジプト想起の忘れられた諸章をつまびらかにする。
 アスマンによれば、モーセをエジプト人とする想起の系譜は、マネトーやストラボンなど古代の著述家にまで遡り、ルネサンスを経て、スペンサー、カドワース、トーランド、ウォーバートン、ラインホルト、シラーなど、17世紀と18世紀のヘブライ学者・理神論者・スピノザ主義者による思弁的エジプト学で頂点に達する。そしてアスマンは、「エジプト人モーセ」という想起の形象を賦活してきた、ある論争の文脈を再構成する。聖書で想起される「ヘブライ人モーセ」は、一神教の根底にある「モーセの区別」――真の宗教と偽の宗教を分かつ根源的な区別――を象徴している。アスマンは一神教を「対抗宗教」とも呼ぶ。なぜならそれは、己が体現する真理と相容れないものを虚偽として排除する、否定の潜勢力を秘めているからだ。対抗宗教に発する「神性破壊」の衝撃は、アクエンアテンの一神教革命以来、反動形成として、一神教を超克しようとする情動を呼び覚ましてきた。スペンサーからシラーにいたる「エジプト人モーセ」の想起の系譜は、一神教の真理の故郷をエジプトに求めることで、モーセの区別を脱構築しようとした。
 アスマンはフロイトもこの想起の系譜に位置づける。強迫神経症としての一神教というフロイトの診断は一種の治療的試みだった。フロイトは、反ユダヤ主義の暴力が吹き荒れる中、『モーセと一神教』で、この憎悪の出所を探した。モーセの区別は除外された者たちの憎しみをも呼び覚ます。この情動を、その起源を想起することで克服すること。事実史の観点ではフィクションとして片付けられるフロイトの再構成を、アスマンは記憶史の観点でこう読み直す。ところで、イェルシャルミ、デリダ、サイードも、フロイトの再構成を、アイデンティティ・ポリティクスの文脈でそれぞれ別様に読み直した。これら再読の試みはその都度どのような論争的文脈でなされたのか。それをたどるのも記憶史の記憶史として面白い。
 なお、『エジプト人モーセ』が立てた一神信仰の対抗宗教に内在する暴力性というテーゼは、神学者や宗教史家などからの激しい批判を招き、今日なお続く論争を巻き起こした。しかし、対抗宗教としての一神教という問いの立て方は、それを退けるにせよ引き受けるにせよ、宗教と暴力の結び付き、今日の諸々の原理主義と宗教テロリズムを考えるうえで検討すべき重要な視点だろう。
 「エジプト人モーセ」の系譜は、一神教的西洋の他者ではなく、起源としてのエジプトを想像した。その各々の段階が、フロイトも含めて、自己の起源を再構築する試みだった。人文学も想起の営みの一つである。とすれば、西洋の人文学は、自らの過去をいかに想起(想像/創造)し、忘却してきたのか。同時に他者のイメージを絶えず生み出しながら。この想起の営みに対する記憶史のまなざしで、自明とされてきた「西洋」と「非西洋」、自己と他者の境界線を問い直す仕事がなされてきた。サイードの『オリエンタリズム』(1978年)やバナールの『黒いアテナ』(1987年)が思い浮かぶ。欧米中心主義の知をどう組み替えるかという課題がこれらの仕事を結び付けている。アスマンの『エジプト人モーセ』は、イスラエルでもギリシアでもない、エジプトに己が由来を求めた、人文学の一つの伏流を明るみに出した。アスマンの本も、西洋の文化的記憶を内側から開く試みとして、これらの仕事に連なる。

安川晴基(やすかわ・はるき)さんプロフィール
1973年広島県に生れる。ドイツ文学研究者。名古屋大学大学院人文学研究科・准教授。訳書に、ヤン・アスマン『エジプト人モーセ:ある記憶痕跡の解読』(藤原書店、2017年)、ハインツ・シュラッファー『ドイツ文学の短い歴史』(共訳、同学社、2008年)、アライダ・アスマン『想起の空間:文化的記憶の形態と変遷』(水声社、2007年)など。

安川晴基さん選書
"事実史"から"記憶史"へ

エジプト人モ-セ ある記憶痕跡の解読

エジプト人モ-セ ある記憶痕跡の解読

ヤン・アスマン、安川晴基 / 藤原書店
2017/01出版
ISBN : 9784865781045
価格:¥6,912(本体¥6,400)

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安川さんコメント
西洋の人文学に〈記憶論的転回〉をもたらした、大論争の書!
〈ヘブライ人モーセ〉は唯一の真なる神を崇め、他の神々を偽として排撃する、新たな一神教を告げ知らせた。この聖書の伝承に対し、モーセを〈エジプト人〉とする――邪とされたエジプトに、ある真理の故郷を求める――試みが、西洋の精神史にはあった。

フロイトのモーセ論に対する応答

モ-セと一神教

モ-セと一神教

ジ-クムント・フロイト、渡辺哲夫 / 筑摩書房
2003/09出版
ISBN : 9784480087935
価格:¥1,296(本体¥1,200)

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安川さんコメント
「ユダヤ性」の由来の解明を試みたフロイト最晩年の書。ユダヤ一神教の起源に、「エジプト人モーセ」の殺害という、民族の抑圧されたトラウマ的出来事を読み解く。ヤン・アスマンの『エジプト人モーセ』も本書に対する応答。

神なきユダヤ人 フロイト・無神論・精神分析の誕生

神なきユダヤ人 フロイト・無神論・精神分析の誕生

ピ-タ-・ゲ-、入江良平 / みすず書房
1992/12出版
ISBN : 9784622033578
価格:¥2,592(本体¥2,400)

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安川さんコメント
「啓蒙主義者」フロイトは、自ら創始した精神分析学をもって、「科学」と「宗教」の相克にどう関わったか。

フロイトのモ-セ 終わりのあるユダヤ教と終わりのないユダヤ教

フロイトのモ-セ 終わりのあるユダヤ教と終わりのないユダヤ教

ヨセフ・ハイ-ム・イェルシャルミ、小森謙一郎 / 岩波書店
2014/09出版
ISBN : 9784000246972
価格:¥4,212(本体¥3,900)

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安川さんコメント
『ユダヤ人の記憶・ユダヤ人の歴史』で知られる著名なユダヤ史家が、フロイトの『モーセと一神教』に、フロイト自身が受け継いだ宗教的伝統との対決の軌跡を読み取る。精神分析学は「神なきユダヤ人」による「神なきユダヤ教」か。

ア-カイヴの病 フロイトの印象

ア-カイヴの病 フロイトの印象

ジャック・デリダ、福本修 / 法政大学出版局
2017/01出版
ISBN : 9784588140372
価格:¥2,484(本体¥2,300)

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安川さんコメント
デリダの講演録。イェルシャルミのフロイト論に対する反論。起源を求め構築しようとする誘惑(「アーカイヴの病=悪」)に抗い、資料にいかに接近するか。

フロイトと非-ヨ-ロッパ人

フロイトと非-ヨ-ロッパ人

エドワ-ド・W.サイ-ド、長原豊 / 平凡社
2003/10出版
ISBN : 9784582702477
価格:¥1,728(本体¥1,600)

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安川さんコメント
イェルシャルミのフロイト論に対して、『モーセと一神教』を別様に読み直す。ユダヤ民族の起源に「エジプト人モーセ」を措定したフロイトの再構成に、西洋/非西洋の区別を越え出る、開かれたアイデンティティの可能性を見る。

トラウマ・歴史・物語 持ち主なき出来事

トラウマ・歴史・物語 持ち主なき出来事

キャシ-・カル-ス、下河辺美知子 / みすず書房
2005/02出版
ISBN : 9784622071099
価格:¥3,024(本体¥2,800)

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安川さんコメント
トラウマの概念を導入し、文化学の新たな視座を開いた著者が、フロイト『モーセと一神教』、デュラス/レネ『ヒロシマ私の恋人』、クライスト、ド=マン、ラカンなどのテクストの分析を通して、歴史のトラウマをいかに語るかを考察。

「事実史」から「記憶史」へ

集合的記憶

集合的記憶

モリス・アルヴァックス、小関藤一郎 / 行路社
1989/10出版
ISBN : 9784875343233
価格:¥3,024(本体¥2,800)

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安川さんコメント
社会学者モーリス・アルヴァックス唯一の邦訳書。20世紀前半に社会構成主義的な記憶理論を提唱し、1980年代以降のノラ、アスマン夫妻などによる人文学の「記憶論的転回」を準備。

現実の社会的構成 知識社会学論考

現実の社会的構成 知識社会学論考

ピ-タ-・L.バ-ガ-、トマス・ルックマン / 新曜社
2003/02出版
ISBN : 9784788508392
価格:¥3,132(本体¥2,900)

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安川さんコメント
現代社会学の基本文献の一つ。人々の知識の「外化」「客観化」「内在化」の契機によって、「現実」が社会的に構築されるプロセスを説明。本書が打ち立てた社会構成主義は「文化的記憶」のコンセプトの理論的支柱の一つ。

記憶の場 第1巻 フランス国民意識の文化=社会史

記憶の場 第1巻 フランス国民意識の文化=社会史

ピエ-ル・ノラ、谷川稔 / 岩波書店
2002/11出版
ISBN : 9784000225199
価格:¥7,128(本体¥6,600)

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安川さんコメント
「フランス」を象徴する「記憶の場」の壮大な地勢図。さまざまなシンボルを介して、フランス人が自分たちの過去をどのように想像し、自己を定義してきたか。シンボル分析による想起の社会史。アナール学派以後、「記憶」の次元を「歴史」に再び取り戻す、新たな歴史学を構想。

記憶の場 第2巻 フランス国民意識の文化=社会史

記憶の場 第2巻 フランス国民意識の文化=社会史

ピエ-ル・ノラ、谷川稔 / 岩波書店
2003/01出版
ISBN : 9784000225205
価格:¥7,128(本体¥6,600)

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1巻と同コメント

記憶の場 第3巻 フランス国民意識の文化=社会史

記憶の場 第3巻 フランス国民意識の文化=社会史

ピエ-ル・ノラ、谷川稔 / 岩波書店
2003/03出版
ISBN : 9784000225212
価格:¥7,128(本体¥6,600)

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1巻と同コメント

定本想像の共同体 ナショナリズムの起源と流行

定本想像の共同体 ナショナリズムの起源と流行

ベネディクト・アンダソン、白石隆 / 書籍工房早山
2009/11出版
ISBN : 9784904701089
価格:¥2,160(本体¥2,000)

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安川さんコメント
ナショナリズム研究の古典。「ネイション」はシンボルに媒介され共有されたイメージであるという本書のテーゼは、ノラの「記憶の場」やアスマン夫妻の「文化的記憶」のコンセプトに通ずる。

創られた伝統

創られた伝統

エリック・ホブズボ-ム、テレンス・レンジャ- / 紀伊國屋書店
1992/06出版
ISBN : 9784314005722
価格:¥5,137(本体¥4,757)

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安川さんコメント
古来の「伝統」とされているものの多くは近代に創造された。国民国家の時代における「伝統」の発明の諸々の瞬間に迫る本書も、ナショナリズム研究の古典にして、記憶研究の嚆矢。

想起の空間 文化的記憶の形態と変遷

想起の空間 文化的記憶の形態と変遷

アライダ・アスマン、安川晴基 / 水声社
2007/12出版
ISBN : 9784891766511
価格:¥6,480(本体¥6,000)

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安川さんコメント
ヤン・アスマンとともに「文化的記憶」のコンセプトを提唱し、人文学の新たなパラダイムを打ち立てた著者が、古代の記憶術から現代のインターネットまでたどる、西洋における想起のメディア文化史。

フ-コ-・コレクション 3

フ-コ-・コレクション 3

ミシェル・フ-コ-、小林康夫 / 筑摩書房
2006/07出版
ISBN : 9784480089939
価格:¥1,728(本体¥1,600)

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安川さんコメント
『言葉と物』から『知への意志』にいたる時期の論文を収めたもの。ここでは所収の「ニーチェ、系譜学、歴史」に着目。ある解釈が、さまざまな力のせめぎ合いと不均衡の結果、「真理」として現出する有様を探求する「系譜学」は、連続的・統一的・必然的な「歴史」を解体する。

ニ-チェ全集 4

ニ-チェ全集 4

フリ-ドリヒ・ニ-チェ / 筑摩書房
1993/10出版
ISBN : 9784480080745
価格:¥1,944(本体¥1,800)

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安川さんコメント
本書の第二篇「生に対する歴史の利害について」で、歴史主義の隆盛に生を萎縮させる脅威を見たニーチェは、生を可能ならしめる力としての「歴史」の三様態を説く。ニーチェの反時代的考察は、100年後、フーコーの「系譜学」に転生。

ヴァ-ルブルク著作集 5

ヴァ-ルブルク著作集 5

アビ・ヴァ-ルブルク / ありな書房
2003/12出版
ISBN : 9784756603814
価格:¥5,400(本体¥5,000)

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安川さんコメント
「デューラーとイタリア的古代」「スキファノイア宮におけるイタリア美術と国際的占星術」など重要論文を収める。ルネサンス美術に現れる高揚した身振り言語----「情念定型」に、異教的古代の残存と再生を探る。ヴァールブルクのイコノロジーの誕生を告げる論集。

ヴァ-ルブルク著作集 別巻 1

ヴァ-ルブルク著作集 別巻 1

アビ・ヴァ-ルブルク / ありな書房
2012/03出版
ISBN : 9784756612229
価格:¥25,920(本体¥24,000)

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安川さんコメント
晩年のヴァールブルクが作成した図像パネル集。図像の配置関係によって、古代と現代、西洋と東洋を結ぶイメージの(隠れた)ネットワークを考察した、壮大な「記憶の地図帳」。日本語版の執筆者陣による、各図像パネルの詳細な解説付き。

アビ・ヴァ-ルブルク記憶の迷宮

アビ・ヴァ-ルブルク記憶の迷宮

田中純 / 青土社
2011/06出版
ISBN : 9784791766055
価格:¥3,888(本体¥3,600)

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安川さんコメント
ヴァールブルクのイコノロジーを鋭利な筆致で解説。トラウマ的なパトスを刻印され、集合的記憶に潜伏し、間歇的に回帰するイメージの伝承学は、アスマン夫妻の「文化的記憶」のコンセプトに繋がる。

歴史の喩法 ホワイト主要論文集成

歴史の喩法 ホワイト主要論文集成

ヘイドン・ホワイト、上村忠男 / 作品社
2017/03出版
ISBN : 9784861826351
価格:¥3,456(本体¥3,200)

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安川さんコメント
「歴史」と「フィクション」はナラティヴの観点では厳密には区別できない。歴史記述の根底にある物語的次元を指摘し、過去についての特権的な知を自認してきた歴史学の営みに再考を促したホワイトの論考集。主著『メタヒストリー』(※2017年10月に刊行)の邦訳も待たれる。

歴史・レトリック・立証

歴史・レトリック・立証

カルロ・ギンズブルグ、上村忠男 / みすず書房
2001/04出版
ISBN : 9784622030904
価格:¥3,780(本体¥3,500)

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安川さんコメント
史料を「開かれた窓」と見る素朴実証主義者と、歴史をレトリックの次元に還元する懐疑論的相対主義者の双方に対して、歴史研究におけるナラティヴの束縛を自覚しながらも、過去の現実への通路を切り開く「歴史的知識」の可能性を熱く説く。

歴史を逆なでに読む

歴史を逆なでに読む

カルロ・ギンズブルグ、上村忠男 / みすず書房
2003/10出版
ISBN : 9784622070641
価格:¥3,888(本体¥3,600)

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『歴史・レトリック・立証』と同コメント

一神教の歴史の読み直し、一神教と暴力

モ-セの生涯

モ-セの生涯

ト-マス・レ-メル、遠藤ゆかり / 創元社(大阪)
2003/07出版
ISBN : 9784422211688
価格:¥1,512(本体¥1,400)

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安川さんコメント
トーラーのモーセ伝はいかなる歴史的背景から編み出されたか。そしてこの物語は、現代にいたるまで、西洋の神学・思想・芸術・政治的プロパガンダでいかに利用されてきたか。著名な旧約聖書学者が豊富な図版を交えて紹介する格好の入門書。

申命記史書 旧約聖書の歴史書の成立

申命記史書 旧約聖書の歴史書の成立

ト-マス・レ-メル、山我哲雄 / 日本基督教団出版局
2008/02出版
ISBN : 9784818406704
価格:¥6,912(本体¥6,400)

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安川さんコメント
旧約の申命記から列王記にいたる一連の「申命記史書」。ユダヤ民族の苦難の歴史を物語り、ヤハウェの排他的崇拝を根拠づけるこれらの歴史書はいかにして成立したのか。諸研究を総合し、テクスト編纂学の観点から解明する。

一神教の起源 旧約聖書の「神」はどこから来たのか

一神教の起源 旧約聖書の「神」はどこから来たのか

山我哲雄 / 筑摩書房
2013/08出版
ISBN : 9784480015815
価格:¥1,944(本体¥1,800)

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安川さんコメント
近隣の大国に翻弄された古代のイスラエルで、ヤハウェ以外に神は存在しないとする唯一神観がいかに成立したか。その過程を、「ヤハウェの民」による、自らの共同体の生き残りをかけた、信仰上の一連の「革命」として描く。

パウロの政治神学

パウロの政治神学

ヤ-コプ・タウベス、高橋哲哉 / 岩波書店
2010/08出版
ISBN : 9784000244626
価格:¥4,644(本体¥4,300)

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安川さんコメント
神学者タウベスの最晩年の講義録。ローマ書の読解によって、パウロの政治神学を、ユダヤ的なるものの系譜に位置づけ直す。ユダヤ教とキリスト教を新たに架橋する試み。

グロ-バル時代の宗教とテロリズム いま、なぜ神の名で人の命が奪われるのか

グロ-バル時代の宗教とテロリズム いま、なぜ神の名で人の命が奪われるのか

マルク・カルル・ユルゲンスマイア-、古賀林幸 / 明石書店
2003/07出版
ISBN : 9784750317595
価格:¥4,104(本体¥3,800)

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安川さんコメント
暴力行為は神の名においていかに正当化されているか。その論理を「コスミック戦争」の概念で説明。宗教テロリズムは、聖典に描かれた聖戦のイメージを喚起し、現実の政治闘争に、正邪、善悪の壮大な宇宙論的対決の意味を与える。

仮想戦争 イスラ-ム・イスラエル・アメリカの原理主義

仮想戦争 イスラ-ム・イスラエル・アメリカの原理主義

レザ-・アスラン、白須英子 / 藤原書店
2010/07出版
ISBN : 9784894347526
価格:¥3,240(本体¥3,000)

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安川さんコメント
己が体現する正義への絶対的な帰依、他者との非妥協、敵の排除。本書が分析する今日の原理主義と新たな「宗教戦争」の問題は、一神教に内在する暴力性を説く『エジプトモーセ』の中心テーマでもある。

シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧

シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧

エマニュエル・トッド、堀茂樹 / 文藝春秋
2016/01出版
ISBN : 9784166610549
価格:¥993(本体¥920)

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安川さんコメント
2015年1月のテロ事件後にフランス国内外で沸き起こった「私はシャルリ」運動。その統計学的分析を通じて、「イスラム恐怖症」に染まるフランス社会、さらには西欧先進国に内在する問題を抉り出す。

最後のユダヤ人

最後のユダヤ人

ジャック・デリダ、渡名喜庸哲 / 未来社
2016/10出版
ISBN : 9784624932695
価格:¥1,944(本体¥1,800)

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安川さんコメント
デリダが晩年に行なった二つの講演を収めたもの。自らの「ユダヤ性ないしユダヤ教への帰属なき帰属」を問い直し、「ユダヤ的」なるものを脱構築しながら、「共に生きること」を「赦し」や「応答責任」の問題とともに考える。上掲の『アーカイヴの病』と併せて読みたい。

人文学が紡いだ西洋のアイデンティティをめぐる言説の歴史

英国のプラトン・ルネサンス ケンブリッジ学派の思想潮流

英国のプラトン・ルネサンス ケンブリッジ学派の思想潮流

エルンスト・カッシ-ラ-、三井礼子 / 工作舎
1993/09出版
ISBN : 9784875022237
価格:¥3,132(本体¥2,900)

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安川さんコメント
17世紀イギリスの支配的潮流である経験論とピューリタニズムに対抗し、信仰と理性の一致を説いたケンブリッジ・プラトニスト。著者カッシーラーは、ルネサンスと18世紀啓蒙主義を結ぶ紐帯として彼らを評価。『エジプト人モーセ』の主要登場人物の一人であるカドワースの狙いがどこにあったのか、本書を読むとよくわかる。

ジョルダ-ノ・ブル-ノとヘルメス教の伝統

ジョルダ-ノ・ブル-ノとヘルメス教の伝統

フランセス・アミ-リア・イェ-ツ、前野佳彦 / 工作舎
2010/05出版
ISBN : 9784875024293
価格:¥10,800(本体¥10,000)

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安川さんコメント
イエイツの代表作の一つ。古代から中世を経てルネサンスに受け継がれた、新プラトン主義、グノーシス主義、ヘルメス主義の伝統を究明。アスマンは『エジプト人モーセ』で、18世紀末のドイツのスピノザ主義に回帰する「ヘン・カイ・パン」の思想が、古代のラメセス朝神学にまで遡ることを指摘。

黒いアテナ 2 〔上巻〕 古典文明のアフロ・アジア的ル-ツ

黒いアテナ 2 〔上巻〕 古典文明のアフロ・アジア的ル-ツ

マ-ティン・バナ-ル、金井和子 / 藤原書店
2004/06出版
ISBN : 9784894343962
価格:¥5,184(本体¥4,800)

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安川さんコメント
古代ギリシアの「アーリア起源」がヨーロッパ中心主義による構築であることを明らかにし、ギリシア文明の「フェニキア・エジプト起源」を説く。18世紀末以降の人文学が築き上げてきた西洋の自己理解を揺さぶる大著。アスマンは『エジプト人モーセ』で「記憶史」の観点からバナールの説を批判的に検討。

黒いアテナ 2 〔下巻〕 古典文明のアフロ・アジア的ル-ツ

黒いアテナ 2 〔下巻〕 古典文明のアフロ・アジア的ル-ツ

マ-ティン・バナ-ル、金井和子 / 藤原書店
2005/11出版
ISBN : 9784894344839
価格:¥6,048(本体¥5,600)

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『黒いアテナ』(上)と同コメント

ブラック・アテナ 1 古代ギリシア文明のアフロ・アジア的ル-ツ

ブラック・アテナ 1 古代ギリシア文明のアフロ・アジア的ル-ツ

マ-ティン・バナ-ル、片岡幸彦 / 新評論
2007/05出版
ISBN : 9784794807373
価格:¥7,020(本体¥6,500)

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『黒いアテナ』(上)と同コメント

エデンの園の言語 ア-リア人とセム人:摂理のカップル

エデンの園の言語 ア-リア人とセム人:摂理のカップル

モリス・オランデ-ル、浜崎設夫 / 法政大学出版局
1995/03出版
ISBN : 9784588004735
価格:¥3,672(本体¥3,400)

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安川さんコメント
18-19世紀のアーリア・セム人論を検証し、キリスト教ヨーロッパの民族主義と反ユダヤ主義を分析。西洋の人文学は、自文化の起源をいかに想起(=想像/創造)し、忘却してきたか。この問いに『エジプト人モーセ』も迫る。

テクストの擁護者たち 近代ヨ-ロッパにおける人文学の誕生

テクストの擁護者たち 近代ヨ-ロッパにおける人文学の誕生

アンソニ-・グラフトン、ヒロ・ヒライ / 勁草書房
2015/08出版
ISBN : 9784326148288
価格:¥8,100(本体¥7,500)

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安川さんコメント
ルネサンス以降の古典学、聖書学、年代学、普遍史の展開をたどり、批判的なテクスト学としての人文学の成立史を解明。『エジプト人モーセ』で提示される、17世紀のモーセ論争の背景にあるエピステモロジー的転回を知るうえで重要。

オリエンタリズム 上

オリエンタリズム 上

エドワ-ド・W.サイ-ド、今沢紀子 / 平凡社
1993/06出版
ISBN : 9784582760118
価格:¥1,677(本体¥1,553)

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安川さんコメント
言わずと知れたサイードの代表作。西洋の人文学があくことなく記述してきた「オリエント」に、陰画的な対照像として、西洋自身の欲望がいかに投影されているか。欧米中心主義の思考構造と支配のまなざしを批判し、ポストコロニアリズムの到来を告げた名著。

オリエンタリズム 下

オリエンタリズム 下

エドワ-ド・W.サイ-ド、今沢紀子 / 平凡社
1993/06出版
ISBN : 9784582760125
価格:¥1,677(本体¥1,553)

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『オリエンタリズム』(上)と同コメント

世界の読解可能性

世界の読解可能性

ハンス・ブル-メンベルク、山本尤 / 法政大学出版局
2005/11出版
ISBN : 9784588008313
価格:¥5,940(本体¥5,500)

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安川さんコメント
世界を神の著わした「書物」と見なし、人々はその謎をいかに読み解こうとしてきたか。「メタフォロギー」の碩学が、その試みの歴史を古代から現代までたどる。『エジプト人モーセ』に描かれるヒエログリフ論争もこの歴史に加えられる。


「じんぶんや」アイデンティティ1

★ 月 が わ り の 選 者

「じんぶんや」に並ぶ本を選ぶのは、編集者、学者、評論家など、その月のテーマに精通したプロの本読みたちです。「世に溢れかえる書物の山から厳選した本を、お客様にお薦めできるようなコーナーを作ろう」と考えて立ち上げました。数多の本を読み込んだ選者たちのおすすめ本は、掛け値なしに「じんぶんや」推薦印つき。


「じんぶんや」アイデンティティ2

★ 月 が わ り の テ ー マ

人文科学およびその周辺の主題をふらふらと巡っています。ここまでのテーマは、子どもが大きくなったら読ませたい本、身体論、詩、女性学...など。人文科学って日々の生活から縁遠いことではなくて、生きていくのに案外役に立ったりするのです。

ご愛顧のほど、どうぞよろしくお願いします。

【じんぶんや】安川晴基選
「記憶史」のまなざしで「西洋」を問い直す

場  所 紀伊國屋書店新宿本店 3F-I28棚
会  期 2017年7月6日(木)より開催中
お問合せ 紀伊國屋書店新宿本店3階 03-3354-5703

2017.07.10 特集[TOP]  人文