特殊清掃 死体と向き合った男の20年の記録

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特殊清掃 死体と向き合った男の20年の記録

  • ISBN:9784799310106

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内容説明

「特殊清掃」とは、遺体痕処理から不用品撤去・遺品処理・ゴミ部屋清掃・消臭・消毒・害虫駆除まで行う作業のこと。通常の清掃業者では対応できない特殊な清掃業務をメインに活動している。

孤立死や自殺が増え続ける、この時代。その凄惨な現場の後始末をするなかで著者が見た「死」と、その向こう側に見えてくる「生」のさまざまな形は、読者を不思議な感動に誘う。

「特殊清掃」
今はいろいろなところで使われている言葉だが、もとは私の会社がつくった造語。そして、当社は、この特殊清掃の先駆企業である。

仕事の内容は、人間遺体・動物死骸・糞尿・山積ゴミなどに関係する特殊な汚染汚損を処理するというもの。
凄惨な現場に遭遇することや過酷な作業を強いられることも多く、陽の目をみることが少ない汚仕事である。

「特掃隊長」
この呼称は、本書のもとになったブログの運営管理を担っている管理人(同僚)が命名したもの。
会社組織上の肩書でも、実社会でのニックネームでもなく、あくまで、ブログ上での呼称。
そんな特掃隊長は、自分が喜んでいるほど善い人間ではないだろうけれど、自分が悲しんでいるほど悪い人間でもないかもしれない。また、自分がうぬぼれているほど賢くはないだろうけれど、人が思っているほどバカではないかもしれない。
内向的、悲観的、神経質、臆病、怠け癖、泣虫、ネクラなどなど、その性格に多くの問題を抱えるくたびれた中年男である。

私は、今まで、幾人もの死を体感し、幾人もの生を垣間見てきた。
目に見えるものを片付けるなかで、目に見えないものをたくさん目の当たりにしてきた。
すべての儚さを思い知らされつつも、死痕を消して生跡を刻み、死を生に転化させてきた。
命とは、生とは、死とは何であるか、それを探求したがる本性に心を揺さぶられてきた。
そして、自問自答を繰り返しながら、浅慮も省みず、それらを本にして出版することにしてみた。

読み手の一人ひとりが、ここから何を読み取るか、何を受け取るか、そして、自分の価値観にどう響かせ、生き方にどう反映させていくのか、私にはわからない。

そもそも、そんな何かが本書にあるのかどうかもわからない。
ただ、せっかく手に取ってもらったのだから、読んだ後、その心に少しでもよいものが残れば幸いである。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

GAKU

69
特殊清掃関係のノンフィクションは何冊か読みましたが、読む度にこの仕事をしている方々には頭が下がります。自分は絶対無理です。どれも悲惨ですが、やはり入浴中の孤独死が一番悲惨ですかね。ブログ掲載の抜粋を本にしたので、現場の状況とかは比較的ソフトに書かれていたような気がします。何冊か読んだこの手のノンフィクションでは、「事件現場清掃人が行く」が今のところ私のベストです。 2018/06/08

kinkin

57
死体と向き合う仕事の話ということでどちらかというと野次馬的な本かと思っていたが実は違っていた。本で読む何十倍も何百倍も現場は壮絶なものに違いない。その現場を何事もなかったように始末するのが著者の仕事だ。病院が死と直面する場所だとしたら、この現場はもしかすると死とはなにか、死は何を残したのかに直面する場所ではないか、これから無縁社会が進むとこのような仕事があっても、その処理すら依頼されない死も増えるに違いない。2015/05/02

えっくん

54
★★★★☆遺体痕清掃、遺品整理など過酷で凄惨な現場の特殊清掃を営む著者のブログを書籍化。著者が汚腐呂(おふろ)、汚腐団(おふとん)と呼称しているように想像を絶する腐臭漂う現場なのでしょう。何日も発見されずに孤独死した人、自死する日までカレンダーに〇×△の日毎の評価を記入した人など様々な死を間近に見てきた著者が達観したのは、人生を「偶然という名の必然に支配された現実という名の無限」という死生観や哲学が心に響きました。命の有限性を悟り、感謝と喜びで今を真剣に生きる事が大切と繰返し言及していたことが印象的です。2018/05/09

42
亡くなった方の遺体痕処理および現場清掃、遺品処理などを請け負う特殊清掃者のブログをまとめた1冊。サラサラと読めてしまうほど軽いタッチで書かれてはいますが、なかなか壮絶な現場の話が多いのです。人生もいろいろだけれど、人生の幕の下ろし方も本当に人それぞれですね。「○△×」は胸が苦しくなりました。2015/06/22

キムチ27

38
この類、数冊読んできた。「現場の人」でないと語れない哲学が淡々と綴られており、ひりつく。綺麗ごとでない世界、当然でありながら人が触れたがらない事柄が山積み。超高齢、独居が急増していく社会、それ以外でも心が病む要因が多い現代、「レールから外れてしまう」自らの処し方がこう行った事で供養される事を一人でも多くの人は知らなければと感じた。人生はマラソン、ギャンブル、街道、死ぬまで生きることは宿命であり、責務。擬似的に自らの死を己に近づけると薄暗い「今」がクリアーになり、人生に喝が入れられる・・といった表現に共感。2014/10/04

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