内容説明
和歌が獲得してゆく主題の深まり,俳句の七五の型の中での成熟,この七五調の制約が近代詩歌のリズムにもたらした宿命.日本の古典詩歌の伝統を大きな枠組みの中で,斬新な角度から精彩に論じた新しい日本詩歌入門.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.
目次
秋の夕暮
Ⅰ 「寂しい」秋の夕べ
Ⅱ 本意の成立
一 「心もしのに」と「うらがなし」
二 「悲秋」と「夕の恋」
三 「あはれ」「かなし」「さびし」
Ⅲ 「三夕」とその周辺
一 「心にぞ問ふ」
二 「三夕」の歌
むすび
俳句の詩学
Ⅰ 十七字で言えること
Ⅱ 誇張と矛盾
Ⅲ 意義の方向づけ
Ⅳ 「閑かさや」の句
むすび
七と五の韻律論
Ⅰ 七五調の四拍子
Ⅱ 音数律の性質
一 三つの韻律タイプ――英詩を中心に
二 日本の音数律
Ⅲ 日本韻律論のあゆみ
一 「句切り」の模索――美妙から泡鳴まで
二 土居の「音歩」と高橋の「四拍子」
三 「一綴脚」の働き――荒木説
Ⅳ 日本詩歌の韻律
一 詩句の範型
二 「七五調」
三 「五七調」
四 朗誦の二範型
むすび
注
あとがき
奥付
ガイド
表紙
目次
本編
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
山がち
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「基底部」と「干渉部」という見立ては非常に興味深いが、こればかりで説明されてしまうと少し物足りない思いがある。それよりは、「矛盾」と「誇張」という分析の方が面白かったように思う。韻律に関しては、先行研究のまとめがあるのは、その評価を中心に理解しがたいが、ありがたい。五七調と七五調の変化を詠唱法に求めるのではなく、五七調が混合拍子に求めるというのは、現代の感覚からしても非常にしっくりくるものである。ただ、そのような混合拍子が一体どのように発生したのかというのには十分説明が与えられていなかったように思われた。2013/10/19
噂野 アンドゥー
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大手前大学名誉教授が書いた俳句の専門書。俳句が上手くなるわけではないが、俳句の深さがわかる専門書。2020/08/19