人びとのなかの冷戦世界 - 想像が現実となるとき

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人びとのなかの冷戦世界 - 想像が現実となるとき

  • 著者名:益田肇
  • 価格 ¥5,500(本体¥5,000)
  • 岩波書店(2023/10発売)
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  • ISBN:9784000245432

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内容説明

冷戦とは何だったのか.大国同士の駆け引きや政治リーダーを主人公とする従来の物語とは一線を画し,無数の名もなき人びとの日常的な想像と行為の連鎖と,現実政治との影響関係から冷戦初期の歴史を描く.恐怖,不安,敵意,憎悪,願望……現実は人びとにどう想像され,それは増幅拡散してどのように新しい現実を生み出していったのか.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

目次

序 章 冷戦とは何だったのか?
第Ⅰ部 連鎖する世界
第一章 名付けえないものに名前を付ける
巻き返しの嵐/何がアメリカ的なのか?(何が非アメリカ的なのか?)/占領司令部に飛び火する赤狩りの嵐/「逆コース」をめぐるローカル・ポリティクス/「逆コース」に対する中国の反応/反国民党・反米感情の広がり/米国における「中国」観/流動的な「現実」
第二章 ローカルに翻訳するということ
「我々は既に第三次世界大戦の初期段階にいる」/「ヒステリーは勘弁してくれ」/反植民地主義の時代/戦時の国家建設
第Ⅱ部 社会的なものの時代
第三章 虚構の現実
国内外における「本当の」戦争/ワシントンにおける行き詰まり/世間一般での見方/一九五〇年の国内政治――共和党/一九五〇年の国内政治――民主党/仁川上陸作戦の余波/三八度線北進の決断
第四章 印象をめぐるポリティクス
中国共産党の抑制的態度/仁川上陸作戦以降に広まる流言と恐怖/今なお続く「内戦」状態/国際紛争を通して眺められる国内社会問題/アメリカのイメージ/朝鮮戦争への中国参戦/共産党指導部における大論戦とためらい/人民志願軍による三八度線の南進
第五章 「真実」の創出
「第三次世界大戦はもう始まっている」/「真実」創出への人びとの参加/「事実」としてまかり通る偏見/「囚われた数百万の人びと」/明らかになる内部の亀裂
第六章 動員と参加の狭間で
反論,不信,恐怖/同意,参加,熱狂/戦争の記憶と「真実」の形成/支持と参加/疑念と反感/不確かな「現実」
第Ⅲ部 同時性の世界
第七章 社会戦争
マッカーシズムとは何だったのか/冷戦世界における社会戦争の封じ込め/冷戦論理とジェンダーをめぐる争い/草の根社会保守主義としての冷戦論理
第八章 内部の敵
国内における「冷戦」/絶え間ない生活戦争/レッドパージとは何だったのか/レッドパージの内的メカニズム/学生運動と草の根保守主義の巻き返し
第九章 人びとの戦争
「鎮反運動」の再考/コミュニティーレベルにおける社会的粛清/「秩序」と「調和」を目指した人びとの闘い
第一〇章 再植民地化としての脱植民地化
「白色恐怖」激化の社会的背景/手段と目的の逆転/不参加という「参加」/「非フィリピン活動」の制圧/歴史的・社会的な背景/ローカルな作用・社会的な側面/冷戦という虚構への不穏な期待
終 章 社会装置としての冷戦
著者による解題――あとがきに代えて
略語一覧

利用した公文書館・図書館一覧/図版所蔵・出典
索 引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

BLACK無糖好き

22
社会史と外交史、ローカル・ヒストリーとグローバル・ヒストリーを総合することで、国家や政治指導者が主体とされてきた伝統的な冷戦史観を相対化する途方もない試み。普通の人びとによる、それぞれの社会の軋轢や分裂を封じ込める「社会浄化運動」が冷戦世界を動かす動力源でもあったことを照射。その構図は現代社会に共通する点も読み取れる。◇「客観的歴史」と「解釈的歴史」についての深い考察には惹き込まれた。◆図書館の蔵書に入ってから、この二年近く常に貸出中だった。本書の内容から言えばそれも当然と納得。2023/05/11

風に吹かれて

21
 米国では戦争に行っている男性に代わって女性たちが社会の各分野で活躍していた。戦後、職を求める男性は、女性は家庭に戻るべきだという運動を始める。ジェンダーの問題や人種差別問題などについての各種運動が活発化する中、朝鮮戦争勃発。いわゆる赤狩りが行われる。赤狩りの名のもとに共産主義者でない改革運動に携わる人々なども排除されていく。そして共和党からの巻き返しを押し返すためトルーマン大統領は反共産主義を旗印に朝鮮戦争に参戦し38度線を越えて行く。 →2023/03/05

KA

4
読了したわけではないが、あまりにも学ぶべきものが多いのでコメント欄をメモとして使用する。読了したら本項目を編集する。2021/07/31

あらい/にったのひと

3
買ってからかなり積んでしまっていたけどこれは面白い。本編全部読んで、最後の「著者による解題」まで読むとよいです。英語版が出てからの指摘とそれに対する回答が読めるので、読中感じた疑問点に対していくつかは回答が得られるのではないかと。国家と国民の間の双方向性みたいなのを感じるけど、例えば第一次世界大戦ならベッケール、戦間期〜戦中なら一ノ瀬俊也とかの本を読むと納得感もあるのかな。あと、オーラルヒストリーな本なので囁きと密告などを思い出しつつ。いや面白かったです。2024/01/24

海冨長秀

3
陰謀論やよくある歴史物語のように物事が、権力者やその集団の意図だけで動いていくわけではないということを理解するのによい本。社会は結果を知っている歴史上に於いても当然複雑であった。小さな流れが集まって大河になるように、権力集団の意図に加え、相乗りし「普通の人たち」がいたということを忘れてはならない。そして、その人たちの背景、社会状況。そうなってしまったら、もう「自然災害」で、私個人に出来ることは何もないとある意味気が楽になった。予防やどんな抵抗ができるのか、流されないようするだけで精一杯だろう。考えたい。2022/12/11

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