内容説明
20世紀の壮大な実験,ソ連.それが人びとの心になにを残したのか探るため,作家はソ連崩壊後,自殺者の家族や,強制収容所の経験者,民族紛争を逃れた難民,地下鉄テロの被害者,デモに参加して逮捕拘禁された学生らに聞き取りをおこなう――.街頭や台所で交わされるさまざまな市民の声を集め,21世紀のいま甦りつつある抑圧的な国家の姿をとらえた大著.
目次
加担者の覚え書き
第一部 黙示録による慰め
街の喧騒と台所の会話から(一九九一─二〇〇一)
赤いインテリアの十の物語
独裁政治の美とセメントのなかの蝶々の秘密
兄弟姉妹たち、迫害者と犠牲者……そして、選挙民
ささやき声とさけび声……そして感嘆
孤独な赤い元帥と忘れられた三日間の革命
思い出の施し、意味の渇望
べつの聖書とべつの信者たち
炎の冷酷さと高みによる救済
苦悩することの甘美さとロシア的精神の焦点
殺人者のだれもが、自分は神に仕えていると思っている時代
赤い小旗と斧の微笑
第二部 空の魅力
街の喧騒と台所の会話から(二〇〇二─二〇一二)
インテリアのない十の物語
ロミオとジュリエット……ただし彼らの名前はアブリファーズとマルガリータ
共産主義のあと人びとはすぐに変わってしまった
孤独、それは幸福にとても似ている
あいつらを皆殺しにしてやりたい、そう望んだあとの恐怖
大鎌を持った老婆とうつくしい娘
神さまがあなたの家の敷居に置いた他人の悲しみ
クソのような人生と白い小さな壺のなかの百グラムの軽い砂
死者たちの無関心と塵の沈黙
狡猾な闇と「そこから作りうるべつの人生」
勇気とそのあとのこと
庶民のコメント
訳者あとがき
人名注
関連年表
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