セカンドハンドの時代 - 「赤い国」を生きた人びと

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セカンドハンドの時代 - 「赤い国」を生きた人びと

  • 著者名:スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ/松本妙子
  • 価格 ¥3,080(本体¥2,800)
  • 岩波書店(2022/08発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 840pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000611510

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内容説明

20世紀の壮大な実験,ソ連.それが人びとの心になにを残したのか探るため,作家はソ連崩壊後,自殺者の家族や,強制収容所の経験者,民族紛争を逃れた難民,地下鉄テロの被害者,デモに参加して逮捕拘禁された学生らに聞き取りをおこなう――.街頭や台所で交わされるさまざまな市民の声を集め,21世紀のいま甦りつつある抑圧的な国家の姿をとらえた大著.

目次

加担者の覚え書き
第一部 黙示録による慰め
街の喧騒と台所の会話から(一九九一─二〇〇一)
赤いインテリアの十の物語
独裁政治の美とセメントのなかの蝶々の秘密
兄弟姉妹たち、迫害者と犠牲者……そして、選挙民
ささやき声とさけび声……そして感嘆
孤独な赤い元帥と忘れられた三日間の革命
思い出の施し、意味の渇望
べつの聖書とべつの信者たち
炎の冷酷さと高みによる救済
苦悩することの甘美さとロシア的精神の焦点
殺人者のだれもが、自分は神に仕えていると思っている時代
赤い小旗と斧の微笑
第二部 空の魅力
街の喧騒と台所の会話から(二〇〇二─二〇一二)
インテリアのない十の物語
ロミオとジュリエット……ただし彼らの名前はアブリファーズとマルガリータ
共産主義のあと人びとはすぐに変わってしまった
孤独、それは幸福にとても似ている
あいつらを皆殺しにしてやりたい、そう望んだあとの恐怖
大鎌を持った老婆とうつくしい娘
神さまがあなたの家の敷居に置いた他人の悲しみ
クソのような人生と白い小さな壺のなかの百グラムの軽い砂
死者たちの無関心と塵の沈黙
狡猾な闇と「そこから作りうるべつの人生」
勇気とそのあとのこと
庶民のコメント
訳者あとがき
人名注
関連年表
関連地図

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミカママ

282
初めに告白すると、苦手だった現代世界史の中でもいちばん個人的にとっつきにくかったロシア史。ペレストロイカ以降生き抜いた、「普通の人たち」の声が集められた作品。民衆の声を通して、史実や人びとの絶望が聞こえてくる。それは当然ながらどんなフィクションよりも凄惨で、救いはもちろん明るさすらない。翻訳者の苦労が伺われた作品であり、ふと英訳で読んだらどうだったろうとも思った。巻末の年表と人名注は、それだけでもうお宝だ。2017/08/13

夜間飛行

226
ペレストロイカのせいで預金が紙屑になった人。凄まじい暴力に晒された人。戦車に立ち向かう群衆。スターリンを信じ資本主義(金銭欲や競争)への不信感を訴える人々。自分を拷問し、さらに妻を殺した党のために戦ったことを誇る共産主義者の老人。アルメニア人やタジク人というだけで殺される話は私の想像を超え、妊婦の腹を裂くなど残虐行為にハンマーで頭を殴られるような衝撃を受けた。戦争とテロと暴力の連鎖が続く中、若い世代の自殺の話は何とも辛い。愛の話も沢山あった。愛が限りなく美しい愚かさだというのはどんな世の中でも同じらしい。2021/12/26

夜間飛行

186
再読。アレントのいう全体主義の本質は、人間から中心が隠されてあることだった。人間的なものに決して還元できず、傷つけられる当人だけが直面するしかないような不条理は、長く人々の心に残存したのではないか。ペレストロイカ後に入ってきた資本主義も不条理と感じる人々が沢山いたようだ。本書にある言葉の表出は、各自が生きる上で直面した憧れ、愛、苦しみ…等々を力強く訴える。台所で静かに話し合ったり、広場=集会に行き、爆弾のように本を所持した人々。彼らは言葉が死と隣り合わせの状況を生きたのだ。お金の時代は何をもたらしたのか?2023/06/08

どんぐり

92
社会主義ソ連(1991-2001)から資本主義ロシア2002-2012)を生きる人々のさまざまな声を拾い上げたノーベル文学賞受賞作家アレクシエーヴィチの記録文学。『チェルノブイリの祈り』と同様に、この国の歴史に翻弄された人々の苦悩がポリフォニックに語られている。スターリンの暗黒時代の亡霊が幾度も立ち現れ、チェチェン・ロシア紛争、グルジアとアブハジア、アルメニアとアゼルバイジャンの血で血を洗う争いも出てくる。→2024/01/18

アナーキー靴下

88
ウクライナ侵攻後も、ロシア国民のプーチン支持率は高く、ニュースでは「プロパガンダ国営放送が主な情報源の高齢者や地方在住者が支持層」と言っていたと思う。しかしその後、ネットで情報を得ているはずの若年層もプーチンを支持しているようだ、と判明したとき「自分が見たい情報、信じたい情報を追ってしまうのだろう」といった話がされていた。そんなふうに言ってしまったら何でもかんでも単純化できてしまうし、腑に落ちなかった。そんな中、本書を知り読んだ。旧ソ連の人々へのインタビュー集であるが、まったく単純ではない。苦しい。2022/04/17

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