岩波文庫<br> 転回期の政治

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岩波文庫
転回期の政治

  • 著者名:宮沢俊義
  • 価格 ¥1,111(本体¥1,010)
  • 岩波書店(2022/03発売)
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  • ISBN:9784003812112

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内容説明

民主政治が,なぜどのようにナチ独裁にとって代わられたのか.憲法学の泰斗・宮沢俊義(1899―1976)は,1930年代初めフランス,ドイツに留学.ナチスの台頭,ヴァイマル憲法の「死滅」をその同時代に目にし,独裁政治の手法を見抜いた論考を立て続けに発表した.民主主義,立憲主義を果敢に説いた宮沢の,戦前における注目の書.(解説=高見勝利)

目次

はしがき┴プロローグ┴I 転回期の政治形態┴第一章 民主政より独裁政へ┴第二章 独裁的政治形態の本質┴第三章 独裁政理論の民主的扮装┴第四章 議会制のたそがれ┴第五章 議会制の凋落┴II 転回期の政治因子┴第一章 官僚の台頭┴第二章 政党国家から政党独裁政へ┴第三章 政府と政党の関係┴第四章 輿論と大衆┴III 転回期の政治改革問題┴第一章 行政機構の改革┴第二章 貴族院の改革(その一)┴第三章 貴族院の改革(その二)┴第四章 比例代表制┴IV 転回期のヨーロッパ政治┴第一章 フランスにおける国家改革論┴第二章 国民革命とドイツ憲法┴第三章 ドイツの「自由の憲法」┴解説(高見勝利)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nagoyan

6
優。八月革命説を提唱し、戦後憲法学説の主流を建設した著者の戦前期の国法学的時論集である。美濃部の弟子である著者が辛うじて難を逃れえた時代の著作である。端々に自由主義、議会主義への共感が感じられるが、かかる「正統」的な立場に対する左右全体主義の攻撃をできる限り客観的に記述しようとしたものである。当時の時代的背景を想像しながら読み進める必要があるのは、古典的著作を読むときに共通することだが、それにしても、骨が折れた。2017/05/31

大臣ぐサン

3
宮沢俊義、東京帝国大学で法学部教授を務めた憲法学の権威。その宮沢がナチス台頭期に書いた本書では、時代を民主政から独裁政への転回期と位置づけ、来るべき政治混乱期への警鐘を鳴らしている。本書が刊行されたのはなんと1936年。戦前においてこれほどまでにリベラルな観点を持った書物が刊行されていたというのは驚くべきことだ。明らかに宮沢は時代の進む道を予測していたと思われる。しかし、そんな慧眼でさえも戦中は表向きには軍部を礼賛するしか生きる道がなかったというのは恐ろしいことだ。さて我々は今転回期に立っているのか否か。2020/09/09

ナン

3
ケルゼン・シュミットの著作の理解の一助に、と前半部分を中心に再読。ナチスドイツを例に独裁政論を紹介しつつ、著者の民主政理解はケルゼンと同じ(相対主義)と言ってよいと思う。同じような論点が両者の著作より平易な文章で書かれ、また、別な視点からの分析もあり、多面的な理解に役立った。「異なる政治制度が現実に異なる政治効果をもたらすことは明白な事実」「政治制度の変遷に無関心であることは許されない」という著者の主張は心に留めておきたい。なお、結びでシュミットが独裁者の侍女として描かれているのは何とも痛々しい。2020/05/23

call

2
寡聞な上に読書量もそんなに多くないので著者の名前はこの書で初めて知った。戦前の原論の自由がまだあった時代に書かれたものであり、当時の政治に対する知識人の考え方が伝わってきた。また、例えば「授権法」やドイツの血のための法律などナチス政権が成立したのちに成立した法律を引用してそれらを解説している部分は興味深かった。2017/08/15

watershed

1
議会制度、言論の自由、大衆が政治に対して持つ影響力等的確な説明が多く、著者の知力を感じる。明治以降の憲法制定から議会政治までの歴史も的確でリアル。貴族院改革といったテーマも当時の雰囲気が感じられて面白い。2018/09/16

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