内容説明
日常会話は遠回しな表現でみちているにもかかわらず,聞き手は話し手の意図を直ちに理解する.なぜ言葉になっていない意図を推測できるのか? なぜ推測はほどほどでおさまるのか? なぜ遠回しな表現をするのか? 3つの不思議を念頭に,哲学・言語学・心理学の代表的理論から,現代の脳科学にもとづく成果まで紹介する.
目次
第1章 言わないことが伝わる不思議┴第2章 会話は助け合いである┴第3章 人間は無駄が嫌い┴第4章 体面が大事┴第5章 うやむやにした方が得┴第6章 謎はどこまで解かれたか┴参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shikashika555
57
同じ言葉を発していても 人により状況により受け取り方が違う。 言葉を発する状況の後ろにある「含意」を受け取ることに会話成立の是非がかかっている。しかし含意の理解とはどういう機序があるのか。どのような要素が含意の理解に関わっているのか。 大概の人が人生のどこかで悩む問題を読みやすい形で説明してくれている。 「含意理解の推論の実体は文脈の検索」 「現代の言語学会の主流派はヒト種が言語を持っている理由はコミユニケーションでは無いと考えている」 の二文が印象的。 ん?では言語を持っている理由は何なのだろう。 2021/08/15
竹園和明
33
「コーヒー飲む?」「明日、朝早いんだ」。このやり取りで「飲まない」事をお互いに認識する。このように、「いらないよ」という直線的な回答よりも間接的な発話を我々が好んで用いるのは何故か。またこの間接発話を聞いた時に我々は脳の中でどういう思考を巡らして結論を呼び起こすのか。非常に興味深い題材を細かく考察。思考の経緯を的確に分析し、ズバリの結論を通告するのではなく思考に幅を持たせる話法のメリットも紹介。「アレしないとアレだからさ」等が飛び交う我が家。脳の中では様々な憶測と思惑が飛び交っているんだろな。違うよ!😅2020/09/01
テツ
24
哲学書でもあるまいし一般的には会話の最中にいちいち単語の意味付けや定義付けなどすることなく、なんとなく無意識に推論しながら進行していく。日常的に行っているのに改めて指摘されたら不思議に思えますね。会話の中で使用されている個々の単語の意味が解らなかったとしても大多数の人々はその単語について質問することなく、なんとなく会話を進められる。人間には必須である言語コミュニケーションの不思議さについて素人でも理解できるように説明してくれていて面白かった。ぼくたちは曖昧模糊とした世界の中で生きているんだなあ。2021/01/07
Minamihama
16
生成文法では人が言語を持っているのはコミュニケーションのためではない、社会的N400の存在がその理由である。2022/09/06
耳クソ
12
『あいまいな会話はなぜ成立するのか』を読んでいると自分があいまいな会話はなぜ成立するのかにそこまで関心がないことに気づいていった。2021/11/24