内容説明
「あせってはいけません」「牛のように図図しく進んでいくのが大事」.漱石の書き残した,弟子を始めとする若い人々への手紙は,小説とは違った感慨を読む者に与える.綴られる励まし,ユーモア,人としての深さは,今を生きる人にとっても,温かなエールとなるだろう.示唆に富む手紙から文豪・漱石の新たな一面が見えてくる.
目次
はじめに┴序章 吾輩は手紙好き人間である┴夏目家に電話が引かれた日/漱石が書いた手紙の数/漱石山脈と木曜会/肝癪もち漱石の包容力/漱石が小学生に送った手紙/『坊っちゃん』 「清」から「坊っちゃん」への手紙/名作の力/手紙は漱石を知るキーワード┴1章 孤独と向き合う 顧りみるもの一人も無┴俳句を介した漱石と寺田寅彦の縁/気のすすまぬロンドン行き/書物に対する強い飢餓感/作家ギッシングと漱石/「クレイグ先生」/ロンドンから妻に宛てたラブレター/漱石の下宿を訪れた日本人化学者/科学への関心のたかまり/ロンドンに届いた子規の訃報/子規追悼の句/泉下の子規に宛てた〝手紙〟┴コラム1 漱石の理想の美人┴2章 人生の決断に迷ったとき 死ぬまで進歩するつもりでやればいい┴我儘を貫いた漱石/険しい船出/漱石のシェイクスピア講義/「猫」に同化した漱石/漱石の文名とみに上がる/『坊っちゃん』の登場人物のモデル探し/作家の考えと批評家の見識/志士の激しい精神で文学をやりたい/死ぬまで進歩するつもり/夏目先生の卒業論文講評/やめたきは教師,やりたきは創作/大学をやめ新聞社へ入社/「入社の辞」┴コラム2 漱石の声,再生の試み┴3章 決めた道で困難に出会ったとき 自分は自分流にするのが義務┴『虞美人草』の執筆と漱石の逆鱗/「猫」の死亡通知/『文学評論』の出版/門下生が流した三〇年後の涙/科学の指南役,寺田寅彦/修善寺の大患/漱石の死生観/大塚楠緒子の死/博士号辞退騒動/博士制度の問題点/湯川胃腸病院に入院/雛子の死と『彼岸過迄』/明治から大正へ┴コラム3 博士号辞退騒動の後日談┴4章 戦うよりも許すこと それが人間の修養┴安部能成の結婚/岡本一平『探訪画趣』/見知らぬ読者へ送った手紙/ある女の告白と『硝子戸の中』/まだひょろひょろしている/〝パトロネージ〟の精神/京都でまたもや病臥/武者小路実篤に宛てた漱石の手紙/『道草』の連載┴コラム4 漱石は愛犬家┴終章 吾輩は自己の天分を尽くすのである┴いつまでも生きる気でいる/芥川龍之介への手紙/『明暗』の推敲を示す手紙/トルストイ流と漱石流/漱石の漢詩/絶筆┴主要参考文献
感想・レビュー
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ホシ
3月うさぎ
Sugaya Masaki
bassai718
りん