内容説明
児童虐待やDVや年金の相談・支援,図書館司書,保育士,学校給食調理員,女性関連施設の職員,非常勤教員等々,待遇は劣悪なまま,体よく「やりがい搾取」される女性非正規公務員たち.私たちの暮らしを直接支える人たちの生活がこのまま脅かされていていいのか? 現場からの切実な声を届け,いま何が必要なのかを考える.
目次
はじめに(竹信三恵子)┴1 婦人相談員の現状と「非正規公務員」問題(戒能民江)┴2 公務の間接差別の状況と会計年度任用職員制度の問題点(上林陽治)┴3 現場から見た女性非正規問題 女性関連施設・直接雇用の経験から(瀬山紀子)┴4 ハローワークのカウンターの内側から 現場で起きていること・雇止め問題と住民への影響(山岸薫)┴5 公共図書館司書の悲痛な叫び(渡辺百合子)┴6 「女性職種」が活躍できない社会 「公務の空洞化」を防ぐために(竹信三恵子)┴おわりに(瀬山紀子)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とよぽん
54
「働き方改革」という言葉をよく聞く一方で、「官製ワーキングプア」とはどういうこと? と思って読んでみた。自分も公務員だったので、非正規で公務に従事する人がいて、どんどん増えていることは知っていた。しかし、その方々の雇用環境や待遇などについて、竹信三恵子さん、戒能民江さんたちが書いているような深刻な状況とは知らず・・・。女性を支援する業務、保育園、ハローワーク、公立図書館など公共サービスの担い手を失うと、ますますこの社会は生き辛くなってしまう。同一労働同一賃金も言葉だけ?2021/02/09
小鈴
30
最近話題の官製ワーキングプア。婦人相談員、ハローワーク相談員、図書館司書のリアルな現状や会計年度任用職員制度の問題点を解説。婦人相談員以外は性別に関わりのない職種なのに「女性問題」となっているのは、非正規「だからこそ」女性しか募集してこないという負のループを生み出してますよね。何かで読んだ本に北欧の女性の社会進出できたのは正規公務員として積極的に採用して出産、育児期間の雇用を保証したからと。その結果、社会として公/民(=女/男)で性別役割分業が進んだわけだが、それも一つの答えだけど。。。難しい問題。2021/01/14
ぴっちゃん
6
婦人相談員、ハローワーク相談員については、この本を読んで初めてその成り立ちや実態を知った。成り立ちから改善が必要な職種と、司書・学校司書や保育士や教員や看護師のように本来正規が多かったのに、公務員削減攻撃のあおりで非正規が増えた職種があると思う。ここには取り上げられていないが、給食調理員や学校用務員(今は職名も違うだろうが)などもそうだろう。住民サービスに直結する専門職が非正規にされてよいことは住民にとっては一つもないのに。打開策を探りたい。2021/03/31
てくてく
5
公共の仕事は営利を直接生み出さないとしても人々の生活を支える上で重要な役割を持っている。しかし、いわゆる財政の見直しによって、政策決定に関するものは重要、直接市民に接する仕事(女性が多く従事している)はそれほど重要ではないとして、後者の非正規化が進む。それが会計年度職員の導入によって、さらに進行する。あるいは「女性は待遇より奉仕」としてやりがい搾取が進む。安定した職場環境があってこそ日々の業務に集中できるのは当然であるにもかかわらず、さらに深刻化する女性の非正規公務問題を生み出したものは罪深いと思った。2021/03/14
ふわわん桜
3
非正規公務員に関心を持ち始めたのは、私の働く職場にまさにそぅいぅ女性達がいるから。元来女性が多かった職種(図書館司書etc)での非正規化が進んでいるのは、そぅいぅ職種が軽視されているのかと複雑な気持ちに。一方「正規と同じ仕事をしてるのに」といぅ不満の声に対しては、自分のいる課で見る限り仕事内容や責任の重さは天と地ほどの差があり、違和感を拭えない。どうしたら格差がなくなるのか答えは簡単に見つからないが、非正規職員の待遇改善のためにストライキをしよぅという本書の呼び掛けには全く同意できないゾ(怒)♣3.0点2020/12/06