内容説明
一面を同じ色で彩り,一斉に散っていくソメイヨシノ.明治初めに見出されたこの桜は,凄まじい勢いで全国に拡がって行った.さまざまな語りが生み出される中で,どんな意味をあたえられてきたのか.語られた桜と現実の桜の往還関係を追いながら,そこから浮かび上がってくる「日本」の姿を,近代という時代とともに考える.
目次
まえがき┴〈1 ソメイヨシノ革命〉┴1 「桜の春」今昔┴桜、桜、……/昔の桜景色/江戸の桜/ソメイヨシノはすべてクローン/花見の時空/多品種型と単品種型/吉田兼好の花見/ソメイヨシノ革命┴2 想像の桜/現実のサクラ┴花と名/「桜」とよばれた理由/ヨシノの由来/「名」の力/想像の美・現実の美/「吉野の桜」はなかった/言葉と想像力/絵に画いたような……/説話の宇宙/理念イデアの重力/起源と反起源の遠近法┴〈2 起源への旅〉┴1 九段と染井┴明治三年のソメイヨシノ/三つの年代/創建当時の境内/ソメイヨシノ説の典拠/染井と九段と上野/土地愛トポフイリアの多重性/「四季の遊び場」┴2 ソメイヨシノの森へ┴吉野桜の出現/「日本」と桜/新しさの魅力/公園と公共/戦争と事業/普及のメカニズム┴3 桜の帝国┴起源オリジンへの視線/ナショナリズムの科学/伊藤銀月と井上哲次郎/桜らしい桜/大正期の飯田/日本らしさと桜らしさ/「桜の国土」の生成/「桜の国土」の拡張/風土と民族┴4 逆転する時間┴始源の桜の誕生/書き換えられる歴史/「山桜」の同心円/日本らしさの超自然学メタフイジツクス/旧い桜・新しい桜/逆転する時間/見出された起源オリジン┴〈3 創られる桜・創られる「日本」〉┴1 拡散する記号┴花の時間と人の時間/拡散する物語/桜語りの戦後/想像される「歴史」/「みんな」のモノローグ/空転する言葉/不死のゼロ記号┴2 自然と人工の環┴桜のエコノミー/嫌われる理由/「日本の自然」は一つでない/自然・人工の反転/美しさの根底/「桜」とは何か/「桜」の自己創出オートポイエーシス/ありえた「桜」とありえた歴史/「日本」の自己創出オートポイエーシス/ソメイヨシノの明日┴あとがき┴桜のがいどぶっく・がいど┴ソメイヨシノの起源をめぐる新たな展開┴本書五刷に際して(二〇〇九年一二月)
感想・レビュー
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harass
金城 雅大(きんじょう まさひろ)
壱萬弐仟縁
ochatomo
りょう