内容説明
本書は,ヘーゲル左派運動の総括として,マルクスとエンゲルスが自己批判をも込めて共同で執筆した未完の遺稿で,「唯物史観誕生の書」とも呼ばれている.本書は遺稿ゆえに種々のテキスト問題を抱えているが,今回厳密なテキストクリティークをし,信頼に足る邦訳の完成を目指した.文庫版ということも鑑み,読みやすさも追求した決定版.
目次
凡例
ドイツ・イデオロギー
序文
[序論の第一草案]
[序論の第二草案]
[序論の第三草案]
[本論一]
[本論二]
[本論三‐1]
[本論三‐2]
付録1 [ア]
付録2 [フォイエルバッハについて 抜粋と評註]
補録 [フォイエルバッハに関するテーゼ]
訳註
解説
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シュラフ
21
唯物論的歴史観に以前から興味をもっていて、やっと読んだ、というよりこの書を眺めた、といった感じである。われわれの社会を成り立たせているのは人間の理想・理念といった観念論的なものではなく、ただ物質的諸条件といった唯物論的なものだという味も素っ気もない話のように思える。だが主張の第一前提とする「人間たちが生活できていなければならないということ」は現実問題なのである。われわれは、服を着て・ご飯を食べて・家に住まう、ことで生きていく。物質的な豊かさが精神を豊かにするということ。とても客観的なものの見方なのである。2016/03/16
Major
19
学生時代に『資本論』を始めとするマルクス・エンゲルス、レーニン、トロツキーあたりの著作を熱心に読んだ。もっとも感化された著作が『ドイツイデオロギー』である。史的唯物論を基礎とする共産主義社会への革命に至る理論よりも、革命そのものへの情熱が所々に迸り、それがアフォリズムのように胸を打つ。ヘーゲル哲学における精神の弁証法について深く理解し、それを批判的に(フォイエルバッハを始めとするその当時のドイツ哲学への系譜の精緻な分析を通して)乗り越えている。コメントへ続く2017/08/31
NICK
10
ドイツ人であるはずのマルクスやエンゲルス(当時ドイツ本国にいなかったとはいえ)がどうしてあたかもドイツの思想を俯瞰、総括しているような超越的な立場で記述できるのか? というのはこの著作(草稿)が永遠に抱える問題であるにしても、あらゆる思想・文化(上部構造)は経済や人の流れ(交通)という下部構造によって規定される、という史的唯物論のエッセンスにはやはり目を引かれる。要するに生活がなきゃ宗教も哲学もその他もそもそもできないんだということなのだろうが、だからこそマルクスは革命の思想として全世界に伝播されたのだ2016/04/13
それん君
8
ドイデ読了。今まで思想が歴史を作ったと思ってたけど、この本を読んでガラリと見え方が変わった。 2020/05/07
Major
8
この土日は学生時代及び20代に熱心に読んだ『資本論』を始めとするマルクス・エンゲルス、レーニン、トロツキーあたりの著作をさらっと読み返したが、もっとも感化された著作がこの『ドイツイデオロギー』である。史的唯物論を基礎とする共産主義社会への革命に至る理論よりも、革命そのものへの情熱が所々に迸り、それがアフォリズムのように胸を打つ。ヘーゲル哲学における精神の弁証法について深く理解し、それを批判的に(フォイエルバッハを始めとするその当時のドイツ哲学への系譜の精緻な分析を通して)乗り越えて、いかに自らの思想に組み2013/09/29